ある米国企業は遺伝子組み換えサーモンの発売を発表した。これは初めて人類の食卓に上がることを認められた、遺伝子組み換え動物食品だ。しかし世界で最も早く遺伝子組換え魚の養殖に成功したのが、中国人科学者であることを知る人は少ない。それでは中国ではなぜ、遺伝子組み換え魚の発売が遅れているのだろうか。新華社が伝えた。
朱作言氏は、中国科学院水生生物研究所の研究員だ。朱氏らは1983年に遺伝子組み換え魚を研究し、1985年に世界初の遺伝子組み換え魚の養殖成功に関する論文を発表し、西洋の同業者より3年以上も先を行っていた。研究チームはその後、ソウギョの成長因子の遺伝子をコイに植え込み、数世代にも渡って遺伝子組み換えコイ「冠鯉」を養殖した。
彼らは初めてこの冠鯉を試食した時の食感を覚えている。「醤油で煮込んだコイが食卓に上がった。食べてみると美味で、肉質がきめ細やかだった。食感だけでは、遺伝子組み換えとそうでないものの区別がつかなかった」という。
朱氏は、「一般的なコイと同じ養殖条件であれば、冠鯉の方が成長が早く、1年で販売できるほどの大きさに達する。養殖期間を半分に短縮し、養殖のコストと労働力を節約し、養殖のリスクを引き下げることができる。また、冠鯉の品質は一般的なコイと同じで、成長が早いからといってまずくなるわけではない」と説明した。
成長を促進させるため、北米で販売された遺伝子組み換えサーモンの体内には、サーモンの中で全長が最大のチヌークサーモンの成長ホルモン遺伝子が植え込まれている。同じように、上述した冠鯉の体内には、成長の早いソウギョの遺伝子が植え込まれているため、その体内にはソウギョの微量の成長ホルモンがある。
しかしこれは食用の安全に影響を及ぼさない。冠鯉1匹当たりのホルモン摂取量は、普通のコイ2匹分ほど。また、魚類の成長ホルモンは一種のタンパク質であり、蒸す・煮る・炒めるなどの調理によりアミノ酸に分解され、ホルモンの生理機能を失う。人体の健康を損ねるステロイドホルモンではない。
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