「強風は大気汚染物を拡散させる。しかし地表付近の風速が弱まれば、煙霧が解消されにくくなり、煙霧の日が多くなる」とした上海海洋大学海洋科学学院の馬建教授の最新の研究によると、このような状況が世界規模で発生することは考えにくく、気候変動が煙霧を深刻化させることを過度に懸念する必要はないとしている。関連成果はこのほど「Environmental Research Letters」に掲載された。中国科学報が伝えた。
大気中の温室効果ガスの濃度が上昇すると、これにより予想できる結果は大気中の静力学的安定度が高まり、熱帯対流圏の還流が弱まることだ。世界の気候モデルは、この効果を模倣している。そこで人々は、地表付近の風も弱まると推測している。しかし実際の衛星データによると、広域観測による地表付近の風速は弱まっていなかった。馬氏は「気象予報と観測データが異なっているようだという疑問は、十数年に渡り存在しており、科学界の一つの懸案になっている」と指摘した。
そこで馬氏と中米両国の協力者は初めて、地表付近の風速のデータ模擬研究を行い、新たな予測を発表した。世界的な温暖化における空間平均地表・海面風速は、基本的に一定で変わらない流れを維持し、衛星の測量と一致している。つまり温暖化により地表の風が弱まるという憶測に、根拠はない。馬氏のチームは、1970年から95年の間の19項目の世界気候モデル予測、波高校正済みの海面風速計観測資料を分析し、今後1世紀の変化についての解釈を展開した。
馬氏は「高濃度の温室効果ガスにより温暖化が発生し、人々の生産・生活の各方面に悪影響を及ぼす。しかし表面の風力については、効果を発揮している各種メカニズムが相殺し合っており、環境への悪影響はそれほどではない」としている。(編集YF)
「人民網日本語版」2017年4月14日
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