仕方なく残業、残業手当は「ぜいたく」?
取材では、長時間の仕事に耐えている企業の従業員の多くが、進んでサービス残業をしており、「残業手当」などぜいたくと考えていることが分かった。
ある北京の大手国有銀行で働いているホワイトカラーの趙楽楽さんは取材に対して、「毎週残業を平均10時間ぐらいしている。すべてサービス残業。残業手当はない。上司から残業するよう指示されたことはないが、実際には、上司から与えられる仕事の量は、勤務時間内に終わるものではない。サービス残業するしかなく、会社ももちろん従業員に残業手当を払うことはない。残業をせざるをえないという時もある。自分の仕事は勤務時間中に終わったのに、他の同僚はまだ仕事をしているため、仕方なく会社に残って一緒に残業することもある」と話す。
中山大学(広東省広州市)社会科学調査センターが昨年12月に発表した「中国労働力の動的調査:2015年報告書」によると、残業をする会社員の60%以上が進んでしており、残業する会社員の過半数が、その原因について、「直接的な経済的見返りを得るため」と説明している。
身心の健康に悪影響を与える「残業文化」
企業で形成されている「残業文化」は、従業員の権益を侵しているだけでなく、従業員の身心の健康にも悪影響を及ぼす。
2015年9月に、北京、上海、広州で残業をしているホワイトカラー1500人を対象に実施された調査では、回答者の70%以上が便秘や腰痛、肩こり、手足の無力感、精神的疲労、目まい、頭痛など15の症状を訴えた。そして、1日3食を規則正しく食べているとの回答は26%にとどまり、57%が睡眠時間は「7時間以下」と答えた。