中国社会科学院は北京で4日に発表したアジア太平洋青書の中で、「2016年もアジア新興国の成長率減速の流れを食い止めることは難しく、アジア経済が直面する内外のリスクはさらに拡大するだろう。短期的・長期的なリスクが上昇しつつあり、その深刻さは世界金融危機以来となる恐れがある」と指摘した。中国新聞社が伝えた。
中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院と社会科学文献出版社が発表した「アジア太平洋青書:アジア太平洋地域発展報告(2016)」によると、アジア経済の短期的なリスクには以下の3つがある。
(1)世界貿易の成長率が引き続き減速
新興国の経済成長率が減速し、大国のデフレが顕著化し、世界エネルギー資源価格の低迷が長引くと予想されることから、2016年も世界貿易の減少あるいは低速成長の流れが続くとみられる。
(2)米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げと債務リスクの上昇
世界金融危機後、大規模な金融刺激策により、アジアの新興国における過剰な生産能力の調整・レバレッジ解消の進み具合は先進国に大きく後れを取った。この期間、特に2010年以降、大量の国際資本がアジアの新興国に流れ込んだ。債務の増加率から見ても、債務の相対的な水準から見ても、アジアの新興国は最高レベルに達している。
(3)新興国と先進国の経済成長の「シーソー効果」
米日欧の3大エコノミーの成長率は2014年の1.4%から2015年には1.9%(予想値)に上昇した。しかし、そのことが世界貿易の増加をけん引したわけではなく、新興国の成長エンジンにもならなかった。むしろ、新興国では成長率の鈍化がみられた。こうした「シーソー効果」の背後には、世界貿易と経済成長の「分離」が存在する可能性がある。また、20年余り続く国際的な資本流動の方向に逆転が生じている可能性もある。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年5月5日