だがマイナス金利は実際には日銀がやむを得ずうち出した「試み」だ。劉研究員は、「日本の民間機関や金融機関はこの政策の効果に懐疑的であり、日銀の黒田総裁を含む政策決定者もこの政策に実は『不安を抱いている』のだ」と指摘する。
日本政府はこれまでずっとマイナス金利を引き続き拡大する可能性があると強調し、そのために同会合の委員の1人を量的緩和に賛成する委員と交代させたりしたが、3月17日に総理大臣官邸で行われた第2回国際金融経済分析会合では、黒田総裁が米コロンビア大の経済学者ジョセフ・スティグリッツ教授に対し、「量的緩和が賃金上昇の効果を上げなかったのはなぜか」という問題を提起した。スティグリッツ教授は、「現在、量的緩和と就職率、インフレとの関係には変化が生じ、以前のような強い因果関係はなくなった」と答えた。
劉研究員は、「今回の分析会合は一方では黒田総裁が日本政府の実施するマイナス金利政策が最終的にどのような道筋をたどり、どのような効果をあげるのかに『不安を抱いている』ことを示し、また一方では日本が取り入れた西側の経済学者の理想化された政策が、実際の検証の下では必ずしも効果を上げなかったということを示してもいる。だが日本はすでにこの政策にしばられている。日本はこれからどうするかまったく決まっていない。全体的な量的緩和のロジックは、すなわちインフレが賃金上昇をもたらすというロジックはすでに破綻しているからだ」と指摘する。
日本の地方銀行がマイナス金利による業績悪化を非常に懸念していることから、日銀は政策を「引っ込め」始めている。劉研究員は、「実際には日本のマイナス金利政策は段階的なものであり、留保がつけられている。1月に提起された『超過準備預金』はほとんどが排除され、今回の会合でうち出された『資産運用商品はマイナス金利の対象にしない』との方針は、銀行にマイナス金利回避の一定の余地を与えるものだといえる」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年3月22日