中国社会科学院金融研究所の殷剣峰副所長はこのほど同院で行われた2016年経済情勢座談会の席で、「私は最近、東京大学の伊藤教授が書いた文章を読んだ。世界が『日本病』にかかりつつあるという内容だった」と述べた。一財網が伝えた。
殷副所長の説明によると、日本病にはいくつか特徴がある。まず、長期的な停滞で、実質成長率が潜在成長率を下回ることだ。次に、長期的な縮小で、自然利子率がゼロ以下か、実質金利を下回ることだ。日本病の背後にある名目国内総生産(GDP)の大幅な衰退は需要の縮小であり、総需要が縮小する背後にあるものは、主に世帯収入の低下だという。
日本病の起源は、資産バブル崩壊後に引き起こされた貸借対照表(バランスシート)の低迷にある。日本病が長引く原因は、需要全体の不足、供給サイド全体の活力不足、デフレ、ハイレバレッジだ。日本病の根源は、今後に期待がもてないこと、信頼感が低下していることにある。家庭では今後は収入が減り、出費が増えると考え、企業は資本の限界収益が低下すると考える。
殷副所長は2015年の中国経済を振り返り、「2015年7月から1月に為替市場の名目レートは6%低下し、15年7月に上海証券取引所の総合指数は5千ポイントを割り込むと同時に、レバレッジ率が上昇を続けた。不動産市場は分化し、13年末以降、一線都市、二線都市、三線都市の都市部不動産価格の伸びが低下している。15年以降は、実質GDPが低下しただけでなく、名目GDPも低下した」と述べた。
日本の場合、生産者物価指数(PPI)の低下は主に賃金を通じて消費者物価指数(CPI)の低下につながった。殷副所長は、「中国の現在の都市部にある企業・単位の賃金の伸びをみると、2012年以降、国有企業の賃金総額と平均賃金の増加率はすでに10%を下回り、その他の単位の賃金の増加率も急速に低下している」と指摘する。