読者が微博(ウェイボー)で見たこれらの動く写真の出所は、全て短編映画「写真回収」だ。もし、同作品を最初から最後まで観れば、読者の思考は20数年前の昔の北京まで連れ戻されることだろう。これは、中国のフリーアニメ監督・雷磊氏とフランス人芸術家Thomas Sauvin氏の共同制作によって完成した作品であり、写真は、記憶がフラッシュバックするのと同じように、読者を昔の記憶の世界に連れ戻してくれる。
雷磊監督は、揚子晩報記者に対し、次のように語った。
「写真回収」では、5千枚以上の古い写真を使った。多くのネットユーザーや観客に「フラッシュバック」の経験をもたらしたシーンが登場するが、実は、異なるカメラマンが撮影した写真を多重に焼き付けたものだ。作品では、1秒間に30枚というスピードで写真が続々と写し出されており、20年間に及ぶ日常生活の移り変わりを再現した。観た人は、自分がだれか見知らぬ人の記憶を辿っているような感覚に陥り、特定の時間の人々の往来を観ることができる。
〇中国人の撮影嗜好を反映するアニメ
雷磊監督は、写真を分類している際に、フィルムは複数の人から提供されたものだが、人々の撮影の好みに共通点があることに気づいたという。
「たとえば、中国の多くの観光地には、大きな赤い字が刻まれた石があり、観光客はこの石をバックに記念撮影することを好む」と指摘する同監督は、ある場所もしくはある一人の人物を手掛かりに、これらの共通点を持つ写真にストーリーを語らせ、約20年前からの服装、生活・趣味、都市環境の変遷を通して中国の歴史を振り返ることを思案している。「マクドナルドおじさんとの記念撮影が、時代を代表する典型例だ。改革開放後、マクドナルドが中国に入ってきたばかりのころ、欧米文化に対する好奇心から、多くの人々がマクドナルドにハンバーガーを買いにでかけ、マクドナルドおじさんと写真を撮った」と監督は続けた。