オーストラリア紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」が紹介したブルームバーグ社のシンクタンクのエコノミストの話では、「シグナルからわかるように、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切る前に、人民銀は人民元値下がりを誘導し始めた」という。ドイツのコメルツ銀行のエコノミストも、「中国政府はFRBが行動する前に自国の通貨市場に対する『圧力テスト』を展開した」との見方を示す。
こうした報道が紹介したスタンダードチャータード銀行の通貨戦略アナリストの話によると、「人民元は米ドルや市場パワーの変化に対して『より敏感』になっている。IMFが人民元をSDRの通貨バスケットに採用した後、中国政府は人民元の段階的値下がりを許容するようになる」という。
フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルのアジア外国為替戦略アナリストは報告書の中で、「人民元の参考為替レートが1ドル=6.4085元を基礎として持続的に低下すれば、ただちに群集心理を引き起こし、持続的値下がりの観測が形成される」と指摘した。
米国のPNCファイナンシャル・サービシズ・グループのエコノミストのビル・アダムさんも、「コモディティの価格が大規模に値下がりすると中国政府は人民元がこれまでにない規模で値下がりすることを認めなければならなくなる。よって人民元値下がりがコモディティや製造業製品の価格上昇を後押しし、デフレのリスクを軽減することになる。こうしたわけで、人民元の値下がり傾向は2016年に加速する可能性がある」との見方を示した。
人民銀サイトが今月13日に転載した中国貨幣網の特約評論員の論考によると、中長期的な基本的側面から考えて、人民元レートには「合理的でバランスの取れた水準での基本的な安定」を維持する環境が備わっているという。また人民銀の易綱副総裁も人民元のSDRバスケット入り後に行われた記者会見で同様の見方を示した上で、「中国は今後も金融市場に関与し、大幅な変動が起きるのを防ぐだろう」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年12月18日