小学校入学前の子供を持つ親にとって毎年5月は、小学校入学に関する講座を聞いたり、詳しい人に尋ねたりする時期である。最近、教育問題をテーマにするテレビドラマ「虎媽猫爸」(虎ママと猫パパ)が全国各地で好評を博している。今年子供を入学あるいは進学させようとしている親たちはきっとこのドラマに共鳴していることだろう。このドラマは、虎ママとその家族が学校選びのために奔走する描写を通じて、国内の学校選び熱の現状を活き活きと表現している。学校選び熱はどういう背景で生まれたのか。その原因を2つの面から分析してみよう。
第一に、教育資源のアンバランスな分配。
ドラマ「虎媽猫爸」では、虎ママが全力で子供を重点小学校に入れるシーンが出てくる。これは親と社会が良好な教育資源を強く求めていることを表している。良好な教育資源の供給不足が、親と社会に対し、限りある教育資源の争奪戦を繰り広げさせているのだ。中国の公立教育は長期にわたり、一部の重点学校にソフト・ハード両面の教育資源を偏って配分させてきた。これが義務教育の公立学校が学校ごとに隔たりがある直接的な原因である。この隔たりがあるからこそ、親たちは子供のために一切をなげうって限りある良好な教育資源を争奪しようと考えるのだ。
第二に、教育利権と教育特権による学位競争の助長。
1990年代、市場経済が徐々に確立されると、一種の商品でもある教育は、経済改革の状況の中で交換や貸し借りのできる対象になってしまった。つまり親がバカ高いお金を支払って入学権利を得、子供に優良な学校で学ばせる機会を与えたりすることである。権力や財力が入学結果に影響を与える現象も、しばしば発生した。そしてドラマでは、「孟母三遷」(孟子の母がわが子の教育のために環境のよいところを求めて3回も住居を移した)の言葉通り、虎ママは家を売り払ってしまった。(優秀な学校のある)学区の住宅売買は、良好な教育資源の争奪戦にとって最も重要な手段であり、不動産市場にも大きな影響を与えている。ドラマで虎ママが学区の家を買う際に描かれるエピソードは、学区の住宅を買うことが良い学校に入るための重要な手段となっていることを伝えている。