3月31日はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーとしての参加申請の最終日だった。AIIBは中国が設立を呼びかけ、昨年10月24日に中国、インド、シンガポールなど21カ国が第1期創設メンバーとして「アジアインフラ投資銀行設立準備覚書」に調印。これまでに44カ国が参加の意向を表明し、44カ国の地域はアジア、アフリカ、欧州、アメリカ、オセアニアの5大陸にまたがる。「中国青年報」が伝えた。
世界銀行とアジア開発銀行(ADB)を主導してきた米国と日本は、AIIBが自分たちの主導してきた世界の金融秩序に挑戦するものとなることを懸念し、AIIBに抵抗感を示している。米国は世界の盟友達の間を説いて回り、AIIBへの参加には慎重であるようにと圧力をかけてきた。だが今年3月に英国をはじめとする欧州の盟友が相次いで「投降」し、オーストラリアと韓国も参加の意向を表明。米国国内にも参加すべきとの声が聞こえるようになった。同30日には米財務省のジェイコブ・ルー長官が訪中しており、AIIBが重要な関心事であることは明白だった。ルー長官は同日、「AIIBと世界銀行などの既存の国際金融機関の協力が強化されることを願う」と述べ、この発言は日本を一安心させた。ルー長官の訪中で米国が中国と裏取引し、日本の「梯子を外す」のではないかとの懸念があったからだ。
日本の麻生太郎財務相は先月31日の閣議後の記者会見で、日本政府はAIIBへの参加に「極めて慎重な態度を取らざるを得ない」と述べ、それまでの立場は変わらないとした。麻生大臣は慎重に検討しなければならないこととして、理事会組織の運営・管理や貸出の審査メカニズムの透明性の問題、環境や社会に対する影響の問題などを挙げた。岸田文雄外相は、「(ガバナンス面など)中国側に問題提起してきたが、明確な説明がない」と明かし、菅義偉官房長官も、「AIIBへの参加は今日時点であり得ない」としている。
日本の様子をみると、現在の状況ではAIIBへの不参加は明らかだ。
外交学院の江瑞平副院長(全国日本経済学会副会長)は取材に答える中で、「AIIB創設メンバーになることを放棄したのは、米国と歩調を合わせようとすることが一つ、自国の利益を考えてのことが一つだ」と述べた。
江副院長は、「現時点で、米国はAIIBに消極的であり、創設メンバーになることはなく、日本にも歩調を合わせるよう求めている。また日本は自国の利益も考えている。第一に、中日関係は国交回復以来、最も困難な状況にあり、中国が呼びかけて設立準備を進めるAIIBを、日本が力強く支援することはあり得ない。日本が常に考えることは、AIIBが設立されれば既存の日本が主導するアジア開発銀行(ADB)と競争関係になり、ADBの活動や影響力にとって大きな打撃になるということだ。また日本はAIIBの運営が規範化されたものになるかどうか、国際金融機関の規範化された運営メカニズムに合致するかどうか、投資国の投資リスクを確保できるかどうかをさらに見極めたいとしている」と話す。