最近、日本に行った中国人が便座や炊飯器を争うように購入したのがニュースとなった。購入した人は、日本の家電は品質が良いし性能がいいからだと言っている。だがネット上では、世界の製造業の頂上に君臨した日本が便座や炊飯器で稼いでいるのは「メイド・イン・ジャパン」没落の証ではないかという声もある。
しかし日本の製造業はよく言われるような没落に直面しているとは言えない。国連工業開発機関(UNIDO)による各国工業競争力報告では、日本は21世紀に入っても世界の製造業分野でトップを維持している。製造業の一人当たり生産額、輸出品の品質、影響力などから135カ国・地域の製造業の競争力を評価したもので、製造業では日本の競争力が最も高いと判断された。これに続いたのはドイツ、米国、韓国、台湾地区で、中国大陸部は7位だった。
新興市場の台頭や技術移転の進行などは確かに、日本の製造業に衝撃を与えている。だが日本は、この衝撃で下り坂を進み始めたのではなく、高品質路線を進む決意をより固めるようになった。中国などの安価な労働力や低いコストが日本の製造業に与える衝撃は日用品分野のものにすぎない。技術型の産業や高品質耐久消費財の分野では、「メイド・イン・ジャパン」の地位は微動だに揺らいでいない。日本製品は時に「品質過剰」と揶揄(やゆ)されるが、これもまた「品質管理の厳格さ」と裏表の側面にほかならない。
権威ある自動車品質評価機構「J.D.POWER」は毎年、自動車の信頼度報告を出している。今年もすでに、26回目となる各社の自動車の品質評価報告が出されている。評価に参加した主流自動車メーカー31社のうち、日本のトヨタと本田はそれぞれ3位と5位となった。この成績は業界の中でもずば抜けたもので、ポルシェやリンカーン、ベンツを上回っている。また米フォーブス誌の「2015年最も価値のある自動車ブランド」では、トヨタは再びトップ、本田は3位だった。自動車製造分野では、品質・数量・評判のいずれでも、「メイド・イン・ジャパン」は誰にも引けを取らない。