2013年は中国にとって改革の全面的深化の鍵を握る年であり、法による国家統治の全面的推進のスタートの年であり、第12次五カ年計画の全面的完成の終盤の年でもある。中国首脳の今年初の外遊として、李克強総理がスイス実務訪問とダボス会議出席を選択したことには深い意味がある。中国指導者のダボス会議出席は5年ぶりだ。李総理の訪問は、世界経済が中国に寄せる3大期待にしっかりと応えるためである。(文:王義桅・中国人民大学EU研究センター長、重陽金融研究院シニアフェロー。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
第1の期待は、新常態下で中国経済が世界経済成長のエンジンとしての役割を引き続き担うことである。世界金融危機以来、中国経済は世界経済の成長に対する貢献が最大となり、新常態に入った。中国経済は引き続き世界経済をリードすることができるだろうか?国際社会は幅広く期待を寄せている。一方で、国際社会には「中国経済が新常態に入ったことは中国にとって、世界にとって何を意味するのか?」との疑問も少なからずある。李総理は世界経済の重要なフォーラムであるダボス会議の場を借りて、中国経済の情勢を説明し、中国経済と新興エコノミーの発展の将来性に対する各方面の信頼を強化し、中国による改革開放の全面的深化に対する国際社会の認識、理解、支持を深める。これはとりわけ重要なこととなる。
第2の期待は、世界経済の中国プランだ。ユーロ圏経済がデフレ寸前にある中、スイスフランの対ユーロ上限撤廃に衝撃が走った。ウクライナ危機後の西側の対露制裁は世界経済、特に新興エコノミーの不確定性を増加させた。世界の大口商品価格の急落は、世界経済の回復にどれほどの影響を与えるのだろうか?中国は世界経済回復のためにどのようなプランを示すことができるだろうか?今回の会議は李総理が国際情勢、世界経済情勢および問題解決の道についての見解を示すのに、ふさわしいタイミングだと言える。国際社会が世界経済情勢を客観的、弁証法的に分析し、適切な問題解決の道を見いだし、世界経済の着実な回復および、力強く、持続可能な、均衡の取れた、あまねく広がる成長を実現する後押しをする。これはまさに世界が中国経済の発展に期待していることだ。
第3の期待は、中国のチャンスを分かち合うこと。中国新指導部は発足以降、改革の全面的深化について一連の政策と主張を打ち出した。世界経済協力と地域経済協力に関する一連のイニシアティブ、特に「1ベルト・1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)戦略は今年実行の年に入る。国際社会はこれが各国にとってどのような中国のチャンスを意味するのかを理解したがっている。ダボス会議は知名度が高く、実業界のエリートが集結する。中国はこの場を借りて、中国の政策、経済成長の見通し、対外協力の主張を世界に向けて説明することができる。これは中国にとって、重大な戦略主張および策定中の第13次五カ年計画を世界に向けて明らかにする機会だ。