全国政治協商会議委員、中国航天科工集団第三研究院院長の魏毅寅氏は12日、「玉兎号(月面ローバー)のコンディションは良好で、予想よりも長く稼働を続ける見通しだ」と語った。中国新聞社が伝えた。
玉兎号は中国初の月面ローバーで、設計上の使用寿命は3カ月だ。月探査機「嫦娥3号」の着陸機と玉兎号は2013年12月15日に分離され、玉兎号は順調に月面に到達した。同日夜11時45分には、着陸機の360度撮影に成功し、写真を地球に転送した。今年1月25日未明、月面ローバーが月の2日目のスリープ状態に入る前に、システムの制御に異常が発生した。玉兎号は2月10日の一度目のスリープ解除に失敗し、2月12日夜になり全面的にスリープを解除し、コンディションが好転に向かった。しかし問題が生じたシステムは、今後の回復を待つ必要がある。
魏氏は「玉兎号の設計上の使用寿命は間もなく尽きようとしているが、今のコンディションは良好だ。少し前に問題が生じたがすでにスリープを解除しており、使用寿命は設計上の寿命を大幅に上回ると予想できる」と説明した。
今年の全国両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)において、李克強総理は政府活動報告を読み上げる際に、有人宇宙船・神舟10号が宇宙に打ち上げられ、嫦娥3号が月面着陸に成功したといった、革新的な科学技術に関する成果について触れた。魏氏はこれに励まされた。「宇宙技術を始めとする革新的な科学技術産業は近年になり急速に発展した。科学技術の革新は、社会の全面的な進歩、生活構造の改善、経済発展の牽引をもたらし、中国の世界における戦略的地位を高めた」と指摘した。
魏氏は、宇宙技術の開発成果が、巨大な影響力をもたらすと考えている。魏氏は第三研究院を例として、「第12次五カ年計画期間(2011−2015年)、同研究院の利潤の平均増加率は20%に達している。人々が熟知している宇宙技術開発プロジェクトの他に、同研究院の産業チェーンは暮らしとの結び付きを強めている。一部のハイテク技術に関しては、民間用に転化するため取り組みを強化した」と語った。
魏氏は、「ロボット、鉄筋コンクリート複合管、無人機、小型ガスタービン発電機、自動車電子システム、車のインターネットなどが、近年になり急速に発展している。無人機を例とすると、すでに送電線巡視、地震の救助活動、森林の防火、海洋のモニタリングなど、多くの分野で活用されている」と指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年3月13日