中国の台頭は、経済改革だけで政治改革が不在のモデルなのか?中国の政治体制は、中国のアキレス腱か?多様化する経済と日増しに拡大する社会に、中国の一党執政は対応できるのか?(文:張維為 復旦大学客員教授 春秋総合研究院研究員)
中国というと、西側諸国の人々はすぐに上述した疑問について触れる。しかしこれらの疑問の前提となる仮説には、間違いがあるかもしれない。角度を変えて、中国人の自らの角度から物事をとらえた場合、まったく異なる結論が導き出される可能性がある。中国の政治制度は、中国経済の成功の重要な原因だ。この制度は常に微調整を進めており、さまざまな新しい課題に対応している。ここからは中国の政治制度で、特に注目が必要な5つの点を見ていこう。
(一)一党執政。中国の長い歴史において、これは何も新しいことではない。紀元前221年に秦の始皇帝が中国を統一してから始まる、二千年以上の期間のうち多くは、ある種の「一党執政」が進められていた。より適切に言うならば、統一的な科挙により選出された儒家のエリート集団が政権を運営していた。この集団は天下の大多数の一般人の利益を代表していた。「一党執政」を進めていた古代中国の多くの時期は、当時の欧州よりもよく統治されており、経済も繁栄していた。
中国共産党は中国古代の伝統を引き継ぎ、賢人を選出し幹部にする制度を構築した。中国共産党中央政治局の圧倒的多数の常務委員は、省委員会書記に2回以上就任している。つまり中央政府の要職を占める前に、その多くが少なくとも1億人を管理した経験を持つ。古代と同じく、今日の中国共産党は自らが中国人全体の利益を代表すると表明している。昔と異なっているのは、今日の中国共産党はさらに、中国を世界のトップクラスの強国に戻すという歴史的な使命を担っていることだ。過去10年間において、多くの独立した信頼性の高い世論調査(米ピュー研究所などを含む)は、中国の中央政府は国民の間で厚い人望を集め、支持率が75%を超えていることを示している。西側メディアは、中国の政治体制が崩壊の縁に立たされていると宣伝しているが、これは中国の国情から著しく外れた誤判断だ。