カンフー映画「一代宗師」の登場人物・宮二が大人気に
施剣翹(資料図) |
香港のウォン・カーウァイ(王家衛)監督の最新作「一代宗師(The Grandmaster)」に登場する、中国武術の一派・八卦掌(はっけしょう)の継承者の一人娘・宮二が好評を博している。ある報道によると、映画監督のジャン・ウェン(姜文)氏も宮二が大のお気に入りで、宮二のモデルとなった施剣翹の人物著作権を手に入れ、映画製作の準備を進めているという。「山東商報」が報じた。
「一代宗師」が8日に中国で封切となり、登場する武術の師匠数人が話題となっている。同作品の中で、宮家の二番目の娘が柔らかく力強い動きで、かつ千変万化の64の技は、カンフーの一派・詠春拳の達人で、ブルース・リーの師匠でもあるイップ・マン(葉問)の心を捉える。宮二は最後、自ら父の敵を討って、兄弟子を倒す。宮二の大人気の陰には、宮二を演じる人気女優のチャン・ツィイー(章子怡)の迫真の演技がある。チャンはこれまで主に美人女優として知られていたが、今回は実力派女優にイメージチェンジしている。
宮二のモデルとなったのは、山東省済南市出身の施剣翹(1905-79年、本名・施谷蘭)。施剣翹の父親・施従濱は、山東省の支配者として知られる軍人・張宗昌(1881-1932)の第二軍の軍長を務めた経験を持つ。施従濱氏率いる第二軍は1926年、北京政府、直隷派に属していた孫伝芳・副司令兼五省聯軍総司令率いる安国軍と安寧省で激戦を交わし、施従濱は捕虜となり、処刑されてしまった。孫伝芳は見せしめのため、施従濱の死体を3日間屋外にさらし、子供の頃から父親の愛情をたっぷり受けていた施剣翹もその姿を目にしてしまった。当時20歳だった彼女は夫や親せきに父親の敵討ちを頼むが、ことごとく失敗。その後、幾多の紆余曲折を経て、1935年孫伝芳が天津佛教居士林に参拝に訪れていたところを、施剣翹が拳銃で射殺。報復を遂げた。
済南市の学者も、上記のエピソードは「実際にあった」としているが、「文武北洋(2004年)」の作者で知られる李潔氏は取材に対して、「施剣翹の孫伝芳暗殺は自分一人でしたことではなく、背後に支持者がいた」と指摘。また、山東師範大学の李偉・教授も、「映画と実際の歴史は完全に一緒でないことが多い。映画は歴史を誇張表現するもの」との見方を示した。 (編集KN)
「人民網日本語版」2013年1月18日