雲南省は中国で栽培面積が最大で、生産量が最多のコーヒー産地だ。雲南コーヒーはその独特の風味により、世界で最も良質なコーヒーの1つと高く評価されている。
ここ数年、雲南コーヒーは中国内外の消費者にますます好まれるようになった。スターバックス、ネスレ、瑞幸コーヒー(ラッキンコーヒー)、マナーコーヒーなどのコーヒーブランドが相次いで雲南コーヒー豆を使った複数の商品を打ち出している。スタバは雲南省普洱(プーアル)市にアジア太平洋地域初の栽培者支援センターを設立し、マナーコーヒーが雲南省普洱市孟連県に設立したコーヒー豆回収ステーションはコーヒー栽培農家がたびたび訪れる場所になりつつある。
コーヒー農家が成熟したコーヒー豆を収穫する様子。(撮影・岩三卡)
データによると、2022年上半期の雲南コーヒー豆輸出量は1万8000トンに達し、価格にして5億5000万元(1元は約19.6円)に上り、遠く欧州連合(EU)、ASEAN、米国、中東などの地域に輸出されたという。
深山から世界へ、雲南コーヒー豆は徐々に中国の開放経済の新たな看板商品になってきた。
しかし雲南はこれまで、中国の伝統的な茶葉生産地と見られることが多かった。コーヒーという舶来品がここ雲南の地から世界へ広がるようになったのは、一体なぜか。
コーヒーは19世紀末に雲南省に伝わったが、初期の発展状況は秩序がなく非常に混乱していた。1988年、中南米のコーヒー栽培拠点がコーヒー価格への影響力を弱めるため、ネスレなどの企業が雲南コーヒー産業の発展を現地で支援するようになった。97年末には、雲南省が全国のコーヒー生産量の83%を占めた。
国際ブランドの参入と同時に、雲南の現地企業も自力更生の道を開いた。2011年、普洱市孟連県富岩鎮芒冒村で佤(ワ)族の女性の葉萍さんが村民を率いて「孟連天宇コーヒー農民専業合作社」を設立。この合作社が生産するコーヒー豆は、21年5月に張軍・中国国連大使から国連安全保障理事会を構成する14ヶ国の代表に贈られ、雲南コーヒーは中国内外で高い評価を得ることになった。
芒冒村のコーヒープランテーションで、コーヒー農家がコーヒー豆にを天日干しして乾燥させる様子。(撮影・虎遵会)
コーヒーの品質に対する消費者の要求がますます高くなるにつれ、雲南コーヒーも高品質コーヒーの道を徐々に模索するようになった。22年、コーヒー農家の番啓佐さんが栽培したコーヒー豆が3回目となるスターバックス・リザーブに採用された。第2回中国国際輸入博覧会には、スターバックスリザーブ佐園農場コーヒー豆が雲南コーヒーの代表として出品され、世界各地からの来場者に雲南コーヒーの質の高さをPRした。
輸入博のティーブレークカウンターに置かれた雲南コーヒー。(写真提供はスターバックス)
ここ数年の間に、雲南省はコーヒー産業の発展に関わる一連の指導文書を相次いで打ち出した。政策の指導を受けて、雲南産コーヒー豆の高品質化率は効果的に上昇している。
コーヒー産業の隆盛は雲南の若い世代のUターンも促した。帰郷した若者たちはより成熟した管理技術や栽培技術をプランテーションにもたらしている。
長年にわたり、農家にとってコーヒーはすでに単なる収入源ではなくなり、文化的アイデンティティと融合した存在になった。
現在、普洱では多くの農家がお茶と同時にコーヒーも栽培している。冬にはコーヒー豆を収穫し、春になればお茶を摘むようになっている。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年5月22日