雲南省普洱市にある野鴨塘河谷コーヒー農園で、コーヒーの花の蜜を吸うミツバチ(3月27日撮影・江文耀)。
うららかな春の午後、雲南省普洱市思茅区南屏鎮大開河村では、一面に植えられたコーヒーの木が美しい花を咲かせていた。そしてコーヒー農園や天日干しエリア、コーヒーを淹れるカウンターなどでは、コーヒーが大好きな若者たちが新しいスタイルのボランティア体験を楽しんでいた。新華社が報じた。
近年、おいしいコーヒーを探す旅行とボランティアを組み合わせた「コーヒーボランティア」が、若者たちが雲南省の農村に対する理解を深める新しいスタイルの一つとなっている。今年3月初め、中央民族大学の博士課程に通う楊卓青さん(27)は、論文のフィールドワークのために南屏鎮を訪ねた。「村でコーヒーボランティアについて知り、この農園にやって来た。ボランティアとしての活動が終わったあと、まだ村で論文の情報収集を続ける」と楊卓青さん。
4月18日、雲南普洱市野鴨塘河谷コーヒー農園でドリップコーヒーを淹れる楊卓青さん。
普洱市は近年、中国で栽培面積と生産量が最大のコーヒー生産地となっている。2022年におけるその栽培面積は約4万5266ヘクタール、生産量は5万5700トン、生産高は50億4500万元(1元は約19.5円)に達した。普洱市には、栽培されているコーヒーの木が一面に広がるのどかな風景が広がっており、コーヒーの生産地を目的地とした旅行の人気が日に日に高まり、コーヒーボランティアにも注目が集まるようになってきている。
野鴨塘河谷コーヒー農園の創始者である「90後(1990年代生まれ)」の楊鴻簡さんは、「現在、たくさんのコーヒー農園が、種からコップまでのコーヒーチェーンの生産過程に参加するボランティアを募集している。ボランティアはコーヒーを通して、農村の発展に対する理解を深め、それに参加している」と話す。
元教師だという楊鴻簡さんの祖父や父親は、地元で最も早い時期からコーヒーの大規模栽培に関わってきた農家だ。3代目コーヒー農家の楊鴻簡さんは2020年、仕事をやめて村に戻り、コーヒー農園を始めたほか、提携パートナーの王国李懿さん(24)と共に、ボランティアプラットフォーム「一杯雲南」を立ち上げた。
王国李懿さんは、「ボランティアを必要とするコーヒー農園や加工工場を集約し、ソーシャルメディアを通して、ボランティアを募集している。応募者は好きな場所を選んでボランティア体験をすることができる。接客やコーヒーを淹れるというのがボランティアの仕事。コーヒー農園でその収穫や天日干し、コーヒーの淹れ方といった技術を学ぶことができるというのが、その『報酬』」と説明している。
プラットフォーム「一杯雲南」を通して、野鴨塘河谷コーヒー農園だけでも、中国各地からボランティア300人以上を受け入れてきた。王国李懿さんによると、「応募者は若者がメインで、『90後』や『00後(2000年以降生まれ)』がほとんど。コーヒー業界に従事している人もいて、栽培について深く学ぶためにやって来る。また、コーヒーショップを開く準備のために来る人や、おいしいコーヒーを探す旅として来る大学生もいる」という。
雲南省普洱市野鴨塘河谷コーヒー農園でコーヒーの実を収穫する人(資料写真・2022年11月16日撮影・江文耀)。
4月以来、白いコーヒーの花が一斉に咲き誇り、山には美しい風景が広がっている。楊卓青さんは、「ボランティア体験は期間こそ短いものの、芳しいコーヒーの香りが漂う農村での生活は、良い思い出になる」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年4月21日