服からマスクへ アパレル産業が生産転換の中心に
感染症の中、業界の枠を超えてマスクを生産するのが盛んになった。「今マスクを作っている工場が元々何の工場だったのかわからなくなった」と言う人もいる。
同じく繊維産業に属するアパレル産業は、既存の生産のノウハウと豊富な人手があり、マスク市場参入のハードルは他の産業より低く、生産ラインの変更も相対的に難しくはなく、今回のクロスオーバーで重要な力になった。
プラダやシャネル、ルイ・ヴィトン、ディオールなどのハイブランドから、ギャップやZARA、H&Mなどのファストファッションブランドまで、どこも生産能力の一部をマスクに投入した。
そんな中、感染症が収束した後、生産転換した企業は過剰な生産能力という危機に直面する可能性があると多くの人が懸念している。
国家衛生健康委員会など3当局はこのほど発表した「公衆衛生予防・管理・救急・治療能力開発プラン」の中で、品質が検査に合格した十分な数の医療用マスク、防護服、ゴーグルなどの防護用品を医療機関が確実に備蓄するようにし、一般的な状況では10日分以上を備蓄することを提起した。このマスク備蓄の指示が通達されれば、マスクの需要と生産を大きく牽引することは間違いない。
しかし業界関係者の中には、「感染症は社会の特殊な緊急事態であり、こうした状況の中での市場ニーズはやはり一時的なもので、投機的心理は非常に危険だ。マスクへの生産転換を行うかどうかは実際の状況を踏まえて決めるべきであり、既存の資源を十分に活用してこそ、自分たちの優位性を適切に発揮できる」と見る人もいる。
暑い夏が近づき、出遅れたユニクロが涼しいマスクで反撃に転じるのは変化への対応だといえる。しかし多くのアパレル企業にとっては、撤退するか長期的に続けていくのかが、参入するかどうかよりも難しい選択になるだろう。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年6月2日