2020两会

国際法専門家「感染症をめぐる濫訴は法律の衣を被った『政治ウイルス』」

人民網日本語版 2020年05月30日12:51

米国ジョンズ・ホプキンズ大学が27日に発表したデータによると、米国では新型コロナウイルス感染症による死者が累計10万人を超えたという。米国では感染症が蔓延し続けるのにともなって、感染症対策が不十分なために生じた米国国内の矛盾の責任を転嫁するため、政治屋が絶えず新型肺炎をめぐる「中国責任論」や「中国賠償論」を広めている。政治屋の後押しを受けて、まず一連の米国の弁護士達が、中国政府に集団訴訟を起こすと発表し、次はミズーリ州とミシシッピ州で中国政府に対して責任を追及し巨額の賠償を求める訴訟が相次いで提起された。

こうした動きに対し、多くの著名な国際法専門家が、「新型肺炎をめぐる米国の裁判所での中国政府への濫訴は、国際法的に成り立たず、国内法の根拠もなく、絶対に成功することはない。こうした賠償請求訴訟は基本的事実から背離しており、他国に責任転嫁しようとする行為であることは明らかだ。新型肺炎が米国で抑制できずに蔓延したことは、中国政府の予防・抑制の行動とは何の因果関係もない」と指摘した。

事実を顧みず法律を無視 「中国への損害賠償請求」の政治的動機は明白

武漢大学国際法研究所の肖永平所長は人民網の取材に答える中で、「中国への損害賠償請求は国際法的に成り立たない。まず、国際法における国家の責任について言えば、新型肺炎の感染とは、自然界のウイルスが起源なのであってどこかの特定の社会や国家の原因に帰すことはできず、『0号患者』(初発症例)は必ずしも中国にいたとは限らず、感染症の世界的な広がりに対して中国に故意や過失があったと証明しようとしても客観的な根拠はない。さらに言えば中国が国際的な不法行為を行ったという客観的な事実はない。よって既存の事実と証拠から明らかなように、中国は新型肺炎の世界的な広がりに対して国家責任を負わない」と述べた。

肖氏は続けて、「次に、国際法上の損害賠償責任について言えば、中国は『国際保健規則』(IHR)に基づいて速やかに、全面的に、持続的に国際社会と感染症の情報を共有し、他の国家は有効な措置を取って新型肺炎の蔓延を予防・抑制する機会が完全にあったが、米国などの国家は有力な措置を取って予防・抑制を強化しなかったため、感染症のパンデミックを招いた。中国は外国で感染症が爆発的に拡大しコントロールを喪失することは予測できないのであり、よって、中国の国際法上の損害賠償責任を追求することには同じく国際法上の根拠がない」と述べた。

肖氏はさらに、「言うまでもないことだが、米国の裁判所が新型肺炎の訴訟に関わることは国際法上の主権平等の原則に違反し、米国国内法が規定する主権免除の原則にも違反している」と指摘した。

中国政法大学の霍政欣教授は人民網の取材に答える中で、「平等な者の間に管轄権はなく、国家の主権平等は国際法の基本原則だ。主権国家として、中国は米国の裁判所による司法管轄を免れる。よって、米国国内の裁判所が中国または中国政府を被告とした案件を受理することは、国際法的に言って、国家の主権平等の原則に違反しており、中国の主権を侵害するものだ」と指摘した。

霍氏は、「たとえ米国国内法に基づいたとしても、米国の裁判所はこのような種類の訴訟に対して管轄権をもたない。米国の『外国主権免除法』(FSIA)に基づけば、外国の国家や政府は原則として免除される権利を有するのであり、いくつかの例外があるだけだ。しかし現在の状況をみると、新型肺炎をめぐる中国への損害賠償請求訴訟において、こうした例外の要件はすべて満たされていない」と述べた。

肖の分析によると、「科学を重視せず、中国こそウイルスの発生地だと認定する。客観的な事実を見ずに、中国が感染症の情報を隠したと非難する。基本的な法律・規則を無視して、新型肺炎が米国で蔓延したことについて中国が法的責任を負うよう要求する。これらには明らかに政治性がある。こうした濫訴の本質は少数の弁護士がホットな話題で一稼ぎしようとすること、一部の政治屋が米国の感染症対策が不十分なために生じた矛盾や焦点の責任を転嫁しようとすること、トランプ大統領が再選を目指して行う大統領選挙対策、トランプ政権が中国に汚名を着せて中国の国際的イメージを低下させようとしていること、米国が中国を戦略的な競争相手とみなして展開する政治的な小手先の手段に他ならない」という。

霍氏は、「こうした訴訟にはいささかの根拠もなく絶対に成功しないからこそ、米国の議員の中には一時的に法律を改正しようとする者もいる。これは訴訟の見通しに対する不確定性をある程度増大させるが、一時的な法律改正という行為は米国憲法の三権分立の原則と米国が標榜する法治の伝統に背離するだけでなく、米国式の民主主義を辱めるものであり、さらにこうした訴訟が濫訴であるという本質をはっきり示すものだ」と述べた。

中国国際法学会の黄進会長はこのほど発表した文章の中で、「これまでに米国の裁判所に提起された中国政府を対象とした訴訟はすべて米国の国内法に基づいて提起された濫訴であり、このような国際法を無視し、国内法を乱用して外国の主権国家を起訴し、自国内の裁判所で国家と国家の間の問題を処理する行いは、実際のところ国内法によって国際法に対抗すること、国内の法治で国際法治に対抗すること、国内の秩序によって国際秩序をひっくり返そうとすること、一国主義によって多国主義に取って代わろうとすることに他ならない」と指摘した。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年5月30日

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