防護服姿の医師とベッドに横たわった患者が、一緒に夕日を眺め、はるか彼方を指さしていた。3月5日、この様子をとらえた写真が多くの人々を感動させ、微信(WeChat)のソーシャル機能「朋友圏(モーメンツ)」で話題となった。楚天都市報が伝えた。
この写真には一体どんなストーリーが隠されていたのだろうか?
この写真は、3月5日午後5時過ぎに、武漢大学人民病院東院で撮影された。写真に写っているのは、上海復旦大学附属中山病院から湖北に赴いている医療支援チームの一員である劉凱医師。劉医師は、担当患者をCT撮影のために移動させる途中で、約1ヶ月前から入院している87歳の老人に久しぶりの夕焼けを見せてあげようと立ち止まったのだった。
5日夕方、劉医師とボランティアの甘俊超さんは、新型コロナウイルス感染症患者のCT撮影のために移動式ベッドを押して移動していた。CT撮影を終えて病室に戻る途中、劉医師は自分の身体に注がれた黄金色の陽光にひどく心を打たれ、美しいと感じ、思わず移動させていた患者の老人にちょっと夕日を眺めてみませんか?と問いかけたのだという。老人が同意したので、ベッドをそこに止めて、一緒に久しぶりの夕陽を鑑賞した。そして傍らにいたボランティアの甘さんがこの心を動かす美しい瞬間を写真に収めた。
劉医師は、「この写真がこれほど大きな反響を呼ぶとは、想像もしなかった。自分の想い出にと撮影しただけだった」と話した。
「武漢に来てからというもの、毎日早朝から深夜まで働き続け、日中は常に病棟内にいたので、太陽を眺めることなどほとんどなかった。だから、黄金色に輝く夕日を目にした瞬間、思わず感動で胸がいっぱいになった」と劉医師は続けた。
また今年87歳になる患者の老人は、楽団のバイオリニストだったが、2月9日に入院。入院したばかりのころ、その病状はかなり深刻で、精神的にもひどく落ち込んでおり、誰に対しても心を開こうとしていなかった。だが、入院から20日あまりが経ち、病状が次第に快復しただけでなく、老人と医療スタッフとの関係も次第に改善され、互いに打ち解けるようになった。つい2日前には、音楽家としての本領を発揮して、病室で医療スタッフたちに「何日君再来(いつの日君帰る)」をハミングして見せたのだという。
劉医師は、「病人を救うというのは実際のところ、全ての人の協力があってのこと」と何度も強調した上で、「今回武漢に来て、誕生日を迎えただけではなく、ネット検索ランキングの上位にも入り、本当に一生の記念になった」とした。
ボランティアの甘さんは、「今回の感染状況が収束するまでボランティアを続けたい。私はまだ若く、身体もすこぶる元気なので、この武漢で自分が出来る限りの力を尽くしたい」と話した。(編集KM)
「人民網日本語版」2020年3月6日