2月22日、湖北省武漢市楚河漢街にあるミルクティー店で、最前線で奮闘する医療スタッフに送り届けるためにミルクティーを作る24歳の店員の陳世昌さん(写真左、撮影・趙迪)。
新型コロナウイルス感染状況の影響を受け、湖北省武漢市のほとんどのレストランや店舗では、一時的に閉店する状態が続いている。中国茶飲料チェーン「喜茶(Hey Tea)」漢街LAB店をはじめとする多くの店舗も軒並み、営業を一時停止している。2月22日、現地を取材し同店を訪れた記者は、がらんとした店内に、食品が詰め込まれた紙袋がきちんと並べられている光景を目にした。マスクを着用した10人の従業員は、普段と変わらない様子で、ミルクティーやケーキ作りに勤しんでいた。中国青年報が伝えた。
彼らは、1月28日から毎日、まず自分の予防対策をしたのち、自宅から店まで徒歩で移動し、医療従事者のための食品を無料で作り、届けることを続けてきた。お茶、ケーキ、果物など彼らの愛が込められた食品を、毎日300人分以上作って箱に詰め、美団を通じてウイルスと最前線で闘う医療従事者に送り届けている。楊敏店長は、「全国各地の医療従事者が、武漢に支援に駆け付けている。店内にはちょうど春節(旧正月、2020年は1月25日)用に備蓄されていた食材があったので、私たちは、彼らのために食品を作ろうと思い立ち、すぐに実行に移した」と話す。同店ではこれまでに、7千杯以上のお茶飲料を送り届けている。
武漢は現在、交通アクセスが非常に不便になっており、若い従業員たちは皆、徒歩で出勤している。自宅が最も遠くにある従業員は、毎日1時間以上の道のりを歩かなければならないそうで、運がいい時はシェア自転車を見つけられるのだという。店に到着すると、体温測定、手洗い、器具の消毒を行った後、それぞれの持ち場について働き始める。
店の倉庫は地下にあるが、商業施設内のエレベーターは稼働を停止しており、搬送スタッフもいないため、倉庫の物品は4階分の階段を上って自分たちで店内に運びこむしかなかった。その後、店にストックしてある食材が足りなくなると、シェア自転車で20キロあまりの道のりを走って他の店舗まで赴き、その店の倉庫から不足分を調達してこなければならなかったという。
ほとんどの武漢市民が自宅待機を余儀なくされている中で、若い従業員たちが毎日自宅から職場に出勤することは、「大きな困難」を伴った。だが、「最前線で奮闘する医療スタッフに比べたら、私たちの苦労なんて苦労のうちに入らない」と彼らは言う。
医療チームのメンバーには、「90後(1990年代生まれ)」や「00後(2000年以降生まれ)」も数多い。彼らの多くは、普通の若者と同様、ネット有名店に行って写真を撮ることが大好きで、毎日、ミルクティーやコーヒーを味わうことで、「モチベーションを維持」している。防護服やマスクに比べると、ミルクティーやケーキは、医療スタッフにとって決して「必需品」ではない。だが、彼らは、「医療スタッフは多忙を極めており、ミルクティーやケーキはすぐに口に入れることができる。お腹が空いたときに、手に取ればすぐに食べられる。私たちの作った食品を食べることで、彼らにひと時でも幸福感を味わって欲しい」と考えている。(編集KM)
「人民網日本語版」2020年3月3日