汪勇さんは湖北省武漢市のごく普通の宅配便配達員だ。しかし新型コロナウイルス感染による肺炎が拡大してから、汪さんは医療従事者にサービスするボランティアチームを立ち上げ、日常的な外出や食事から、メガネの修理や室内履き購入に至るまで、医療従事者にニーズがあれば、色々と工夫してこうしたニーズに応えている。汪勇さんとそのボランティアチームは、温かな思いやりの心を一つに集めて、冬の寒さのなかで武漢へと駆け付けた医療界のヒーローたちを守っている。中央テレビ網が伝えた。
取材当日の午前10時、もうかなりの時間忙しく働いていた汪勇さんがようやく朝食を口にしようとしたところ、ある看護師から電話がかかってきた。その看護師は車で方艙医院(臨時医療施設)に薬を届ける際、うっかり電動二輪車に接触してしまったという。事故自体は大きなものではなかったが、感染症対策という特殊な時期で車を修理できるところが見つからず、それで汪勇さんに助けを求めてきたのだ。汪勇さんはすぐに駆け付け、看護師に薬を届けに行ってもらい、自分は車の修理のほうを引き受けた。
汪勇さんは、「こんな風に医療従事者の生活面での問題を解決し、彼らが安心して仕事ができるようにすることが、今の自分の仕事だ」と語った。汪さんはもともと宅配便の配達員だ。もともと春節休暇に帰省するつもりだった汪さんだが、旧暦大晦日にあたる1月24日、「ある看護師が帰宅するのに車がつかまらず4時間歩いた」という情報を目にし、居ても立ってもいられなくなったという。その翌日から、汪さんは会社の倉庫に泊まり込み、ボランティアで医療従事者の通勤の送迎を始めた。
汪さんは全力で頑張り、初日だけで帰宅する医療従事者を30人以上を送り届けたが、やがて、どれだけ頑張っても毎日最大で約300キロしか運転できないことに気づいた。そこで汪さんが微信(WeChat)のグループでボランティアを募ったところ、ボランティアチームのメンバーは徐々に20-30人にまで増えていった。メンバーたちは昼夜を問わず車を運転し、その結果3台の車が使えなくなってしまった。それでも、白衣の「戦士」たちが10分でも長く眠れるようになるなら、やる価値はあると誰もが感じていた。
ますます多くの救援医療チームが到着するにつれて、観察力に優れている汪さんは、医療従事者の基本的な生活は保障されたものの、仕事が終わってから食事をしたり、髪を切ったりといった細やかなニーズを満たすのはまだ難しいことに気づき、そうしたことこそボランティアが役割を発揮できるところだと考えた。
そこで汪さんは医療従事者にサービスするチームを立ち上げ、メガネの修理、サンダルや爪切り、充電器、さらには冬用の服やズボン下を買いたいといったニーズにも対応するようになった。グループ内でメッセージを出せば、すぐに誰かが引き受けてくれる。汪さんは、「自分一人の力には限りがあるが、無数のボランティアの思いやりが集まったことで『一人が呼びかければ百人が応える』ようになっている」と語った。 (編集AK)
「人民網日本語版」2020年2月26日