新型コロナウイルスによる肺炎がイタリア、韓国、イラン、米国など多くの国・地域に広がった。感染症に覆われて、グローバル経済はこれから衰退に陥るのだろうか。中国新聞社が伝えた。
現地時間の先月27日、米国と欧州の株式市場は大幅な下落に見舞われた。米株の下げ幅は深刻で、ダウ平均株価は4.4%、S&P500は4.4%、ナスダック総合指数は4.6%、それぞれ低下した。ナスダックとS&P500は8年半ぶりに単日の下げ幅の記録を更新した。欧州市場も軒並み下落し、ドイツ、英国、フランスの3大指数もすべて3%以上下落した。
多くの国際機関が悲観的ムードを示している。国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエワ専務理事はこのほど、「感染症の爆発的拡大によりIMFはグローバル経済成長率予測を0.1ポイント引き下げた」と述べた。米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン前議長も今週、「世界に猛威を振るう新型肺炎がグローバル経済の成長を抑制する可能性があり、さらには米国経済の衰退を招く可能性もある」との見方を示した。
IMFの元チーフエコノミストでハーバード大学のケネス・ロゴフ教授(経済学、公共政策)は取材に答える中で、「世界が深刻な衰退に陥る可能性は金融危機以降のどの時よりも高い」と述べた。
ロゴフ氏によれば、「グローバル経済に衰退が出現すれば、新興市場にはそれと一続きの金融危機が発生し、先進エコノミーの政策決定者も試練に直面することになる。目下、多くの国の金融政策と財政政策は相当緩和されており、欧州諸国は、特にイタリアは今は経済衰退への準備が十分にはできていない」と述べた。
全米中国人金融協会(TCFA)理事会の理事を務めるメリーランド大学のピット・カール教授(金融)は、「新型肺炎が世界規模で伝播するにつれ、より多くの国の人々が外出や集まり、活動を減らすようになり、航空会社、ホテル、エキシビション、スポーツイベント、外食などの業界の企業に損害を与え、正常な状態を回復するにはかなり長い時間がかかり、世界経済は衰退に陥る可能性がある」と述べた。
現在、新型肺炎の蔓延がグローバル経済の多くの分野にマイナスの影響を与え、観光業、交通輸送業、製造業への打撃が最も深刻だ。
観光業をみると、観光業界データ分析会社のフォワード・キーズがまとめた最新の研究報告では、今年第2四半期には、北東アジア各国の海外旅行予約数は前年同期比17.1%も減少するという。スペインの旅行情報会社によれば、今年1月20日から2月9日までの間に、中国から欧州へ向かう航空券の予約は36.7%減少し、アジア太平洋行きと北米大陸行きはさらに58.3%と64.1%、それぞれ減少した。