大中型哺乳類がどのようにして絶滅したかは、動物研究分野における重要問題だった。東北林業大学の姜広順教授が率いるチームはこのほど、中国科学院動物研究所などの科学研究機関と協力し、定量法の研究によって、人為的な干渉と気候変動の哺乳類絶滅に対する作用メカニズムを発見した。この研究論文は3日、学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。新華社が伝えた。
姜氏によると、現在世界的に生物多様性が急速に低下しており、種の絶滅のペースが大幅に上がっている。人為的な干渉と気候変動がその主因とされているが、その定量研究が少なく、両者の関係を区別することは難しかった。
この難題を解消するため、同チームは近年、中国の紀元前905年から西暦2006年までの、トラを含む11種の大中型哺乳類の長期的な時空動的データを再構築した。さらに数学モデルを作り、人為的な干渉(田畑のカバー率、人口密度)、気候変動(気温)と哺乳類の種の衰退及び局地的な絶滅率との関係を定量分析した。
研究結果によると、過去2千年以上にわたる大型哺乳類の種の減少は、中型哺乳類よりも明らかに早くから始まり、また急激だった。清朝(1636年-1912年)以降、哺乳類の種は激減傾向を示しており、うちゾウやサイ、ジャイアントパンダなどの大型哺乳類の減少が特に顕著だった。
研究によると、哺乳類の局地的な絶滅率は、人類活動の干渉の強度や極端な気温と関連している。現代人の活動による生息地の分散化は、哺乳類の局地的な絶滅率を高めた。これは、温暖化による生息地の分散化が、哺乳類が気温の低い高緯度もしくは標高の高い地域に移り住むのを妨げたためだ。
研究によると、種の衰退と絶滅を回避するため、人類活動の動物及びその生息地に対する影響を抑制し、既存の保護地分布構造を改善し、生態的回廊を構築して、動物の移動の障害をなくし、気候変動と人為的干渉による分布エリアの縮小もしくは拡張にスムーズに適応させ、絶滅のリスクを減らす必要がある。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年9月11日