マッキンゼー・アンド・カンパニー(中国)が26日に発表した電子決済システムの運営会社である銀聯のぜいたく品取引データを参考にした「2019年中国ぜいたく品消費報告」は、中国の消費者の年代、都市、販売拡大ルートの違いによる、ぜいたく品の消費や販売の需要、パフォーマンスの違いを分析している。一財網が伝えた。
18年、中国人の中国国内外のぜいたく品消費額は7700億元(1元は約16.6円、約12兆7600億円)に達し、世界のぜいたく品消費総額の3分の1を占めた。また、ぜいたく品を購入している家庭は、1世帯当たり平均約8万元を使っている 。
12‐18年の間、世界のぜいたく品市場の成長幅に中国は50%以上寄与した。25年までに、中国のぜいたく品消費総額は1兆2000億元に達し、世界のぜいたく品消費の成長幅に対する寄与率は65%に達すると見込まれている。
若い世代である「80後(1980年代生まれ)」と「90後(1990年代生まれ)」がぜいたく品購入者に占める割合はそれぞれ43%と28%で、中国のぜいたく品総消費に対する寄与率はそれぞれ56%と23%に達している。
ぜいたく品を購入する理由について、回答者の大多数と約70%の「90後」が、「独特の雰囲気を楽しみ、自分らしさを表現し、普通の人と違っているため」と答えた。ぜいたく品の購入はそれらの人にとってライフスタイルの一種となっており、オンラインやオフラインでその体験や価値観を友人らに伝えている。
このことから、ぜいたく品ブランドが売り上げを伸ばすためにまず必要なことは、中国の若者の心を捉えることということになる。彼らについてよく理解し、それと足並みを揃え、彼らの交友関係の中に入っていくことができるかが、各ブランドが今後の10年を生き残ることができるかを左右する。一番重要なターゲットとなっている中国人の若者の心を捉えるカギとなるのがデジタル化だ。
中国の若者が好むのはブランド自体ではなく、ブランド商品と人気商品の組み合わせだ。彼らが、一つのブランドの商品だけをいくつも購入することはなく、各ブランドで現在最も人気となっている商品、アイデンティティが確立されている商品を選んで購入し、自分が他の人とは異なっていることをPRすることを好む。
ぜいたく品の購入は今、化粧品の購入と似ているようになっており、消費者にとって最も魅力があるのはブランドの大ヒット商品となっている。中国市場にこれから殴り込みをかけようと計画しているブランドにとって、中国の各年齢層の消費者は目新しいものを好むというのは朗報だ。
最もオープンな気持ちを持ち、いろんなものを受け入れるのは「90後」であるものの、ブランドをPRするだけでは、ブランドを熟知し、SNSを頻繁に使うそれら若者の心を捉えることはできない。ブランドは、新しい商品や商品にまつわる新しい物語を定期的に打ち出したり、新商品に合った動画、画像を作成したり、記事広告やその他の関連のマーケティングコンテンツでPRしたりして、一つ一つの商品を、エルメスを象徴するバッグの「バーキン」のように、絶対にかっておきたい商品にしなければならない。
高齢化が加速している中国社会だが、マッキンゼー・アンド・カンパニーのグローバル・シニアパートナーのダニエル・ジプサー氏は、「ぜいたく品の販売増加に対する顕著な影響はない」との見方を示し、「例えば、携帯や自動車などのデータを見ると、市場全体の成長は鈍化しているにもかかわらず、実際には高級志向が高まっており、ぜいたく品もそのような流れを保っている。 80後や90後は、中国のぜいたく品市場の中心だが、中国の消費者全体を見ると、ぜいたく品を購入しはじめたばかりの人が多く(ぜいたく品消費者である90後の半数と80後の31%が過去1年以内に生まれて初めてぜいたく品を購入し、65後≪1965‐69年生まれ≫と70後≪1970年代生まれ≫の約半数も3年以内にデザイナーズ・ブランドの商品を買い始めている)、社会の高齢化のぜいたく品に対する影響は小さいだろう。80後と90後の消費者のぜいたく品消費は今後も増加し、さらに新しい若者の世代がぜいたく品購入の仲間入りするようになるだろう」と説明する。
そして、「ぜいたく品の消費増加は、人口が多いからではなく、一部の中・高所得者層の増加の流れに乗ったものだ。近年急増中の中・高所得者数の複合年間成長率は18‐25年に28%を保ち、世帯の1ヶ月当たりの可処分所得が1万7450‐2万6180元の間の人口は3億5000万人に達すると予想されている。それらの人が、ぜいたく品の成長に寄与する人々だ」と指摘する。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年4月28日