女性経済のことを指す「ウーマノミクス」という言葉がある。2007年という早い時期に女性が経済で重要な位置を占めることが認識されていた。そしてこの1年には、中国教育部(省)が発表した新しい中国語の言葉171語に「ウーマノミクス」が含まれていた。最近の複数の研究が示すように、女性層は購買力が目に見えて上昇しており、あらためて社会の注目を集めている。「中国青年報」が伝えた。
不動産販売プラットフォームが北京、深セン、上海、杭州などの12都市の中古物件取引データを調査したところ、単身女性が不動産購入者に占める割合が年々上昇していることがわかった。2018年には過去約7年間で最高の46.7%に上り、まもなく男性を追いつく勢いだ。
ボストン・コンサルティング・グループが18年に発表した「中国ぜいたく品市場消費者デジタル行動報告」をみると、次世代のぜいたく品消費の担い手は女性で、71%に達している。
華■(女へんに尼)安(仮名)さん(20歳)もこうした担い手の一人だ。バッグを買うのが好き、旅行が大好きで、高級スキンケア製品をこよなく愛するという華さん。一番高かったバッグは4万元(1元は約16.6円)を超え、欧州自由旅行に1回出かける時の費用に近いという。
華さんは人より早く学校に入り、同年代が大学で学んでいる時には、すでに名門校を卒業して働いていた。現在、一月の出費は7千〜8千元になる。決して少なくないが、消費に流されるような人にはならないという自信がある。
実際、女性は働くことで自分の力で買い物ができるようになるだけでなく、他の産業の発展にも重要な役割を果たすようになる。ボストンが世界の3分の1の国を対象に行った分析によると、国のEC産業の規模を決定づける8つの変数のうち、2位に位置するのは働く女性の数だ。働く女性が増えると、利便性へのニーズが増加し、ネット通販の価値に対する要求も高まる。
今年の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)で、河南省婦女連合会の■(告におおざと)秀菊主席(全人代代表)は消費の促進、内需の拡大に言及した際、「女性消費者は消費高度化、内需牽引の過程で重要なパワーになる。女性消費者のネット通販平均購入額は13年の3830元から17年は1万3254元に増加した。17年の『ウーマノミクス』の市場規模は3兆6千億元に達して、14年に比べて12%増加した。今年は4兆5千万元に達すると予想される」と述べた。
ますます多くの女性が、稼ぐ力と消費する力があれば自分が送りたい生活を送れるようになるだけでなく、自分が適切に尊重されるようになると認識するようになった。
中国婦女雑誌社などが行った「2017年中国都市部女性・家庭消費状況調査年度報告」によると、回答した女性・家庭で「文化娯楽関連の消費がある」としたところが97.6%に上った。女性の海外旅行・レジャーが当たり前になり、「海外旅行に行く」と答えた女性は89.4%に上った。旅行・レジャーは初めて女性個人にとって最大の支出項目になり、平均支出額は1万9500元で、過去12回の調査で1位をキープしてきた衣類・アクセサリーと並んで1位になった。
胡航敏さんは旅行好きの70後(1970年代生まれ)のお母さん。子どもと家族に時間があれば、すぐに旅行を手配する。胡さんは女性の購買力上昇に関するニュースに注目しており、「女性の独立した消費能力の上昇は時代の進歩の現れ。自分の周りの女性の友人は家を買うときに決定権をもつことが多く、大金を出したり、頭金を全部支払ったりするケースも少なくない。稼げることは何も悪いことではない。稼げるから使える。自分の能力の範囲内で上質のものを求め、生活を楽しむのはすばらしいこと。お金は1つの側面に過ぎない時もある。心に関わる消費は、うまく言えないけれど、ノーと言える権利があるということだ」という。
華さんは女性は守られるべきという考え方を耳にしたことがあり、これは女性が爆買いなどとイコールで結ばれているのと同じ考え方だ。華さんは、「ボーイフレンドや夫にお金をもらうのは、自分は最良の生き方ではないと思う」という。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年4月3日