かつて上元節と呼ばれていた元宵節(旧暦1月15日、今年は2月19日)は、年が変わって初めて迎える満月の夜であり、新春のお祝いムードはこの日まで続く。元宵節は漢の時代に始まって次第に形を整え、長い時間を経て発展し、少しずつ変化し、今では元宵(餡をもち米粉の中に入れて転がして作る団子)を食べ、月を愛で、提灯を飾り、花火を上げ、なぞなぞで遊び、獅子舞や竜の舞などを楽しむ民俗・風習が形作られている。第一財経網が伝えた。
北京の古い建築物は木造が中心で、ここ数年は元宵節の提灯祭が保護対象の文化財で行われることはほとんどなかった。だが今年は故宮博物院がこうした「伝統」を打ち破った。故宮が公式サイトで17日に発表したイベント「紫禁城の上元の夜」の公告によると、初めての夜間開放が行われ、20日と21日に提灯祭が行われるという。希望者は予約すれば無料で参加できるが、定員はわずか3500人だ。
このニュースが伝わると、非常に大きな反響をもたらした。希望者は虎視眈々と準備し、パソコンのマウスを握って待ち構え、予約開始日に日付が変わると早速申し込みをしたが、開始からわずか10分で定員はいっぱいになってしまった。
ネットユーザーはこの予約の難しさを、自動車のナンバープレートの抽選や春運(春節<旧正月>期間の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)の鉄道チケット争奪戦にも匹敵すると嘆く。
2016年に中国のSNSを賑わした「H5動画」、「故宮ブランド口紅」や「故宮コーヒー」など、さまざまな文化クリエイティブ製品が次々登場し、600年に迫る歴史をもつ故宮が外の世界と融合し、イノベーションを起こすたびに情報が瞬時に駆け巡った。
故宮の単霽翔院長は17日に行われた亜布力中国企業家フォーラムの年次総会で故宮の財務状況について述べる中で、「故宮は政府から資金が割り当てられる機関だが、国からの資金は経費の54%分だけで、残りは自分たちで稼がなければならない。昨年に割り当てられた特定予算は11億2千万元(1元は約16.5円)だった。故宮の知的財産権(IP)市場の拡大にともない、17年には文化クリエイティブ事業の総売上高が15億元に達した」と明かした。
この数字はA株市場に上場する企業1500社の営業収入を上回る。
中国未来研究会観光分科会の劉思敏副会長は故宮の人気爆発の背後にある原因について、「唯一無二の存在である故宮には皇帝一家の文化と生活へのイマジネーションをかき立て、非常に強い好奇心を抱かせるものがあるだけでなく、より重要なのは、まもなく600歳になろうとする故宮が自ら荘厳で厳粛な堅いイメージを打ち破り、新たなイメージで人々の視界に入ってきたことだ」との見方を示した。
皇帝一家の宮殿であり、中国における中心的な存在と言える。敷地面積は72万平方メートル、建築面積は約15万平方メートルで、大小さまざまな宮殿が70数カ所あり、部屋数は9千室を超える。世界に現存する、規模の最も大きな、保存状態の最もよい、木造の古い建築物だ。
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