▽デュアルSIM・デュアルスタンバイがやっと実現
新機種が性能面でアップルファンの関心を最も引いたのは、XS MAXで初めてデュアルSIM・デュアルスタンバイ(DSDS)に対応するようになったことだ。中国市場のみ物理的に2つのSIMスロットを備えたモデルを打ち出し、アップルが特定国向けにハードウェアの配置に手を加えた初めてのケースになる。その他の市場では一つは物理的SIM、もう一つはeSIMになる。
スティーブ・ジョブズ氏が11年前にiPhoneの初代機を発表した当時、DSDS対応の携帯電話は中国市場にはほとんど出回っていなかった。そして中国市場でDSDS対応ニーズが高まった今頃になってやっと対応するようになった。運営商世界網の康ショウCEOも、「アップルは中国市場のニーズへの対応が明らかに遅すぎる」との見方を示す。
康CEOの分析では、「アップル端末の利益は大きいが、スマートフォン市場が衰退し初め、業界では競争がますます熾烈なものになり、中国メーカーが猛烈に追い上げる今、アップル製品の売り上げ増加率は微々たるものだ。iPhoneの市場シェアは2015年の16.1%から17年は14.7%に低下した。アップルの今年第1四半期決算ではiPhone販売量が前年同期比1%減少した。前に進み続けるため、アップルはDSDS対応機種を打ち出すなどの方法で、新たな顧客の掘り起こしをせざるを得なくなっており、これまでDSDS対応機種を使っていた中高級志向の顧客をアップルに転向させ、市場シェアを拡大しようとしている」という。
▽超高額の価格設定 利益は誰の手に
今年、アップルの時価総額は米国上場企業として初めて1兆ドル(1ドルは約111.9円)を達成した。だ今後の道のりは平坦とは言えない。
今回の「何の目新しさもない」新製品発表会の後、アップルの株価は1%以上値下がりしただけでなく、最終的に発表会当日の値下がり幅としては3年ぶりの最大を更新した。中国A株市場でもアップル供給チェーンの企業の株価が大幅に値下がりした。
康CEOは、「最高を更新し続ける価格がiPhone新機種の売上に影響するだろう。このことはiPhone Xが証明済みだ」と指摘する。
サプライズのない新製品発表会を受けて、これまで頑張ってアップルを追い上げてきた中国携帯ブランドはいささか胸をなで下ろしている。前出の余氏の、「よっしゃ、(新製品Mate20シリーズ発売日の)10月16日にロンドンで会いましょう」というつぶやきには、自社製品への自信がうかがえる。実際、華為は今年第2四半期に出荷量で初めてアップルを追い越した。また錘子ブランドを擁する錘子科技の創業者・羅永浩氏もiPhone新機種のイメージ図のウソを皮肉ると同時に、ジョブズ氏の時代を懐かしんだ。
だがツッコミはしょせんツッコミに過ぎず、アップルの市場での優位性は揺るがない。昨年のX発売当時、ディスプレイが「前髪パッツン」だとさんざんツッコんでいたアップルファンも、しばらくためらった後は相次いで新機種を購入した。「高ければ高いほど売れる」という消費者特有の心理により、アップルの高価格路線が引き続き高級志向のユーザーをがっちりつかまえると考えられるし、華為、小米、vivoなどの中国携帯ブランドもこれまで通りアップルが確立したデザインのトレンドを追いかけている。中国ブランドがプレミアムで飛躍を遂げるのは、まだ遠い先のことかもしれない。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年9月17日
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