台風21号(チェービー)の高潮により滑走路が冠水して機能停止に陥った大阪の関西国際空港を運営する関西エアポートの山谷佳之社長は6日、「B滑走路は被害が少なく、準備が整い次第、7日に一部の国内線を再開する」ことを発表したが、国際線再開のめどは依然として立っていない。
日本メディアの報道によると、関西国際空港の給油設備も台風の被害を受けているほか、空港とつなぐ連絡橋も暴風で流されたタンカーが衝突したため、空港へのアクセスが難しい状況になっている。松井一郎大阪府知事は6日、「全面復旧には数ヶ月を要する」との見方を示した。
関西エアポートは5日から関西国際空港で足止めとなっていた約3000人を、高速船やバスを使って救助搬送した。ただ、移動希望者が多く、輸送能力にも限界があり、依然として多くの旅客が関西国際空港で足止めとなっている。
海上に建設されている関西国際空港は、2004年にも台風と高潮により、護岸が崩れ浸水するという被害が発生したほか、地盤が軟らかく、地盤沈下にも悩まされており、1994年の開港以来昨年までに約3-4メートル沈下している。そのため、高波にも耐えられるよう護岸を海面から約5メートルの高さまでかさ上げしてきた。関西国際空港は、「50年に1度に相当する高波が来襲しても、波が護岸を越えないようにコンクリートを継ぎ足した」としていたが、「今回の高潮被害は、これまでの想定を上回るものだった」と説明しており、対策については今後協議するという。
関西国際空港の全面復旧にはかなりの時間を要するのではないかと多くの人が懸念しており、企業活動への影響もさらに大きくなりそうだ。
物流拠点である関西国際空港の2017年度の取扱貨物量は前年比13%増の85万トン以上に達していた。1日平均2300トンの計算となる。関西エアポートによると、日本をはじめ米国やアジアなどの航空会社が貨物便を運航し、貨物便は21ヶ国45都市を結んでいる。
全日本空輸 (ANA)傘下の航空貨物事業会社・ANA Cargoは、関西国際空港と中国上海、香港地区などを結ぶ貨物便を運航している。今回、関西国際空港が閉鎖されたのを受け、同社の全ての便の運航がストップした。そのため、同社はトラックなどで、関西国際空港から海外へ輸送する予定だった貨物を成田空港へ移送し、海外へ輸出している。
大阪の税関の統計によると、関西国際空港を通して輸出される貨物の7割が中国をメインとするアジア諸国向けだ。商品の種類を見ると、半導体などの電子部品が最も多く、液晶パネルやスマートフォンなどの部品も多い。
関西国際空港が閉鎖され、半導体などの電子部品を輸出する日本のメーカーも続々と他の空港から輸出することを決めている。例えば、半導体大手の「ルネサスエレクトロニクス」は、滋賀県と愛媛県内で生産した半導体部品を、関空を利用してマレーシア工場へ輸出していたが、5日から成田空港からの輸出に切り替えた。
また、フラッシュメモリを生産する「東芝メモリ」は、三重・四日市市で生産した半導体部品を、関空を使って中国大陸部や台湾地区の工場へ輸出していたが、急きょ、ほかの空港からの輸出に切り替えた。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年9月7日
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