日本銀行(中央銀行)が2日に発表した3月全国企業短期経済観測調査(短観)では、改善を続けてきた企業の景況感が2年ぶりに悪化した。原材料高騰や人材不足が、安定した回復が望まれる日本経済の足かせとなっている。
短観によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス24で、昨年12月の前回調査から2ポイント悪化した。市場予想の中央値はプラス25だった。大企業・非製造業のDIはプラス23と前回から2ポイント悪化。悪化は6四半期(1年半)ぶりだった。市場予想の中央値はプラス24だった。短観によると、3ヶ月後の先行きの業況判断指数は、大企業製造業も非製造業も悪化を見込んでいる。
DIが悪化した主な原因は、米トランプ大統領が中国製品に対する追加関税措置を実施したことに端を発する貿易戦争への懸念だ。アナリストは、「もし、他の国の報復や脅迫がエスカレートするなら、貿易戦争に円高の懸念も加わり、日本企業の景況感をさらに悪化させる可能性がある」と指摘する。
人材不足も景況感を悪化させている。景気が回復し、労働力人口が年々減少しているのを背景に、日本の完全失業率は25年ぶりの低水準となっている。短観の雇用判断DI(過剰-不足)は人手不足感の一層の強まりを示しており、1991年以来の不足超幅となっている。
日銀のある職員によると、「建築業、飲食業、ホテル業の一部の企業は、人材不足が業務に支障をもたらしているとの見方を示している。原材料が高騰し、製造業のうち基礎材料関連の企業の景況感が悪化している。例えば、鋼鉄や有色金属、紡績品などを販売する企業」という。
日本の「実質GDP」は8四半期連続で上昇し、1980年代後半のバブル期に12四半期連続で拡大したとき以来、約28年ぶりの長さとなっている。これにより、数十年停滞していた経済が、安倍首相の政策により復活したという観測が強まっている。しかし、賃金の上昇はゆるやかで、企業はその上昇を望んでいないため、日銀の2%のインフレ(物価上昇)目標は達成できていない。日本の首脳は、「円高が進み、貿易摩擦が起きると、輸出に依存している日本の経済に再び悪影響が出る」と懸念している。
しかし、企業の景況感はここ10年で最も高く、企業には良好な設備投資計画もあるため、「日本の経済回復ペースが落ちる」と予想するアナリストは少ない。バークレイズ証券のアナリストは、「1月末以降、円高が進み、製造業の景況感が悪化した。しかし、世界経済は基本的に活気があり、そのマイナスの影響をかき消してくれるだろう。総じていうと、企業の景況感は安定している。現時点で、世界で貿易戦争が起きるのではという懸念が企業の景況感に与える影響は限定的だ。しかし、保護主義が経済の見通しを暗くする可能性もあり、それは米国の貿易政策に左右される」と分析している。
短観によると、18年度の設備投資計画は大企業全産業で前年度比2.3%増と、市場予想の中央値0.6%増を上回った。ただ、大企業製造業の18年度の想定為替レートは「1ドル=109円66銭」で、現時点ではそれより円高の106円台だ。もし円高が進めば、製造業の楽観的な予想にとって打撃となり、安倍首相の政策目標達成にも「黄色信号」がともるだろう。安倍首相は、インフレ政策を通して経済成長の刺激を行うことを目標としている。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年4月4日
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