同報告から容易にうかがえるのは、中産階級には現状に対する明確な認識と未来に対する限りない迷いがあり、相当の収入や立派な仕事が喜びと慰めを与えてはくれるものの、不安と焦りがキリキリと心を悩ませてもいるということだ。
▽時間に焦る 残業が非常に多く自分の時間がない
同報告によると、中産階級の半分以上が残業を当たり前のことと考えており、残業時間が増えると子どもと遊ぶ時間はもとより消費する時間さえなくなる。同研究院の江瀚特約研究員は、「時間への焦りが中産階級が最初に感じる焦りだ。時間が大量に奪われてしまうと、心理状態に影響することもあり、ひいては世帯全体も焦りの気持ちに包まれたりする」との見方を示す。
▽教育に焦る 子どもに立派になってほしい気持ちが強いが、やりすぎるとうまくいかなくなる
江研究員は、「中産階級は若いときに教育や努力を重ねて現在の暮らしを手に入れた人たちなので、『経路依存症』になり、次世代にも同じやり方を引き継ぐことを求める。資産は継承できるが、ソフトパワーは継承できない。中産階級は子どもの教育に気力と財力を惜しまず投入するが、教育に対して焦りすぎたり重要視しすぎたりしてうまくいかなくなってのたうち回り、果ては家族の仲が悪くなったり、親子関係が壊れたりするケースも少なくない」と話す。
▽資産運用に焦る 失業を恐れ、インフレを恐れ、資産価値の目減りを恐れる
統計をみると、中国の中産階級の収入の93%は給与で、失業すれば瞬く間に苦境に陥ることになる。そこで資産の価値を高めたいと焦るのが普通のことになる。インフレが世界の中産階級を苦しめている。中国の中産階級の特殊性がどこにあるかというと、住宅に対する見方にある。住宅は硬直的需要だが、価格が他の消費財に比べて10数倍から数十倍も高く、購入制限や賃貸制限もあり、中産階級が最も強く焦りを感じるものとなっている。
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