日本の1月スタートの冬ドラマの中で、中国のネット上では、マニアック路線で一番おもしろいと好評を博しているのがドラマ「カルテット」。同ドラマにおいて、脚本家の坂元裕二は、再び「小さなことを大きな問題」にする作風を徹底している。例えば、主人公であるカルテットのメンバー4人で食卓を囲むシーンでは、メンバーの1人が他のメンバーに確認しないまま、唐揚げにレモンをかけたことで、メンバー全員がつかんでいた箸を置いて数分間も言い争うといった具合だ。(文:張禎希。文匯報掲載)
展開が遅く、セリフがくどいのに、見ていて決して苦にならないところがおもしろい。「唐揚げにレモン」を「かける派」か「かけない派」なのかが重要なのではなく、多くの人が思う当たり前にはあてはまらない個性に対して、思いやり、尊重すべきではないかということを強調しているのが同シーンの目的だ。
中国国内のドラマでは「甘く切ないラブストーリー」などが定番となっている一方、同ドラマではありふれた日常生活に渦巻く「マニアック」なストーリーが展開し、脚本家が大人の視聴者と同じ土俵に立ち、頭脳戦をしているかのようだ。万人受けするストーリーからマニアック路線まで劇的な変化を見せ、クリエイティブで革新的なそのストーリーは、脚本家が本当の意味で日常生活における人々の心の奥深くまで踏み込み、それを真剣に描き出そうとする姿勢を垣間見ることができる。
「ありふれた日常生活」が「マニアック」となる新たな流れ
ドラマの革新とは、往々にして「マニアック派」のドラマがきっかけでおきる。純愛ドラマが大ヒットしていた1990年代に、日本では「世にも奇妙な物語」のルーツとなった「奇妙な出来事」が深夜ドラマとして放送されていた。同ドラマのポイントは「奇妙」。1話完結の同ドラマでは、毎回、意外な展開が待っており、不思議な結末を迎える。実験的に放送されたこのくせもの系のドラマは、意外にも若者の間で大人気になり、個性派ドラマブームの火付け役とさえなった。
番組の人気が高まるにつれて、その意外なストーリー展開のルールが視聴者たちによってまとめられるようになってくるが、マニアック路線のパラドックスは却ってさらにその特異さを増していくことになる。つまり、ある種のマニアックさが成功することで、さらに新しいマニアックを切り開いていくことになるのだ。そして事細かに今までにない形式のマニアック路線を選ぼうとした場合は、往々にして失敗に終わってしまい、まるで「無策の策」こそが究極の必殺技となると言ってもいいほどだ。そして、こうした予想外の展開の後にきたものが、「ありふれた日常生活」が「マニアック」になるという新たなスタイルだ。「カルテット」はこのような潮流における典型的な存在であることは間違いない。
結婚生活において、「愛」はどのように少しずつ薄れていくのだろうか?第三者の介入や妻の母親や姑らによる粗探しが無くても、ほんのちょっとしたことがきっかけで壊れてしまう。結婚後も恋人感覚でいたい夫と、飾る必要のない本当の家族になりたいと願う妻。そのようなちょっとしたすれ違いが少しずつ夫婦の溝を広げていく。その背後には、男性と女性では結婚に求めるものや夫婦に対する理解が異なっているという問題がある。
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