中国ドラマの進む道
ドラマ「カルテット」の脚本家・坂元裕二は昨年、上海テレビ祭に参加した際、「僕の近年の作品は、都市に住む人の生活における心の葛藤にスポットを当てているため、内容が『重い』とよく言われるが、その『重い』内容を作る道を歩み続けたい。なぜなら、ドラマの意義は、単なる娯楽を提供したり精神的幻想を抱かせたりすることではなく、現実の問題や置かれている状況に対する新たな思考を刺激することだからだ」との見方を示した。
坂元裕二は、1990年の純愛ドラマの代表作「東京ラブストーリー」で大ブレーク。しかし、近年は純愛ストーリーではなく、親子関係や結婚生活における挫折感、男女差別などをテーマにし、「坂元裕二」と言えば、「次々に登場する名ゼリフやありふれた日常生活の中から掘り起こされる細々した問題を描くのに長けている」というのが確立されたイメージとなっている。
海外のドラマがありふれた日常生活に密着した「重いタッチ」となっている一方、中国ではファンタジックな作品や「甘く切ないラブストーリー」を「定番」とした「軽いタッチ」の作品がほとんどだ。例えば、最近流行しているパターンと言えば、ヒロインには必ずと言っていいほど彼女を陥れる悪役女性が登場するというのが、アイドルが出演するドラマのお決まりとなっている。こうした人並み外れた意地悪なキャラクター設定は、本来の人間性にマッチしているものなのだろうか?
「定番」ばかりでは、登場人物やストーリーが軽々しくなると同時に、テレビ業界の発展にとって足かせとなる。あるテレビ局の責任者は取材に対して、「2016年、中国ではドラマが1万5000話が製作されたが、本当の意味で目新しい作品と呼べるものは1割にも満たない。人物設定やストーリーが似通っていることもしばしば。シンデレラがワンマン社長に出会ったり、かよわいヒロインが意地悪な女性にいじめられたり、複数の男性がヒロインの取り合いをしたりというのが『定番』で、『定番の応酬』が製作者の向上心を削ぐ元凶となってしまっている」と警鐘を鳴らした。
「定番の応酬」で中国のドラマが受けいれられないほど軽々しくなることは避けなければならない。人気小説の映画化や定番のストーリーなど、中国のドラマがクオリティの向上のために乗り越えなければならないハードルは多い。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年3月13日
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