そこで劉研究員は、「今回の2%の目標達成の先送りは一つの始まりに過ぎない。今後は経済環境全体に大きな変化がなければ、2%の達成時期はさらに先送りが続くことになる」と予想する。
▽なぜこれ以上緩和を行わないか
実際、今回の会合で2%の目標達成の先送りよりも注目を集めたのは、日銀の態度の変化だった。これまでのような強力な量的緩和政策に基づく金融政策路線を今後は継承しないとみられるからだ。
劉研究員も、「ここ数回の会合から確かに日銀の金融政策の実施にあたっての態度の変化がうかがえる。これまで日銀は外に向けては量的緩和政策を堅持し、2%の物価上昇率目標を達成するという態度を示してきたが、今では『0%の長期金利目標の達成』を堅持するという具合に変わってきている。こうした表現の変化から焦点を長期金利政策に移そうとする日銀の意図がうかがえる。具体的にいうと、市場の通貨投入量に対する関心を、つまり金融政策に対する関心を、金利に向けようとしているのであり、通貨量と物価上昇率目標に対する市場の高い期待を解消することを狙っている」と指摘する。
劉研究員は、「別の角度からみると」と前置きして、「『0%の長期金利目標』に言及したのは金融産業に対する説明でもある。さきに日銀が金利をマイナスに引き下げた時、日本の金融産業は大きな打撃を受けたからだ」との見方を示す。
劉研究員の指摘によると、「現在、日銀は2%の物価上昇率目標の印象を徐々に弱めようとし、金融政策の調整ではテストをしながら確認を行っており、金融政策調整後の中国市場と国際市場の反応をみる必要があり、金融環境の変化、物価の変動、国際金融政策を考慮して調整を行う必要もある。現在の日本をみると、一番必要なことは輸出の突破口を見つけて米連邦準備制度理事会(FRB)などの国際金融政策の影響に対応していくことだといえる」という。
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