中国商務部(省)が発表した貿易統計によると、2015年の日本の対中投資額(金融を含まない実質投資額)は前年比25.2%少ない32億1千万ドルとなった。これについて中国社会科学院世界経済および政治研究所の倪月菊研究員は取材に対し、「多角的かつ客観的に日本の対中投資を見る必要がある。両国の政治の冷え込みは確かに日本の対中投資に影響しているが、円安や中国経済の構造転換と高度化、労働力コストの上昇、とりわけ日本の対世界投資地域および投資構造の変化等は日本の対中投資が減少している重要な要因である」と述べた。新華網が伝えた。
倪氏は以下の四つの点から、日本の対中投資減少の要因を分析した。
一つ目は、円安による日本全体の対中投資減。
「アベノミクス」が放った3本の矢のうち、1本が金融緩和政策だ。この政策の推進の下、13年と14年の日本円の対ドル為替レートはそれぞれ20.5%と12.2%下がった。必然的にドル計算の日本の直接投資FDIには減少が見られる。また、円安により日本国内の製品の輸出競争力が向上し、日本企業は工場を海外に移転するリスクを冒す必要がなくなった。それで日本の対外直接投資は必然的に顕著な減少傾向が見られ、これには対中国も例外ではない。
二つ目は、中国経済成長速度の減速による対中投資減だ。
経済成長の減速は、ある程度投資の魅力を削ぐ。外資を引き付ける多くの優遇策もさらに規範化が進み、外資はメリットの少なさを感じるようになる。一方、すでに中国に進出している「バリューチェーンの下流」の外資にとっても、中国の労働力コスト上昇を前に、如何に投資を拡大するかではなく、如何に現状を維持するかという課題を突きつけている。そのため、中国経済の減速に伴い、日本のFDI減少のみならず、米国といった他の国の対中投資も明らかな減少傾向にあるのである。