スモッグ対策と水質汚濁対策をいっそう強化する。今年度は、化学的酸素要求量(COD)とアンモニア性窒素排出量をそれぞれ2%、二酸化硫黄と窒素酸化物(NOX)の排出量をそれぞれ3%減らし、重点地区の微小粒子状物質(PM2.5)の濃度を引き続き低下させる。石炭燃焼による汚染物質の排出と自動車の排ガスの削減に尽力する。クリーンで効率的な石炭利用を強化するとともに、生活用石炭の使用を減らし、電気・ガスによる石炭代替を推し進める。石炭火力発電所の省エネ・超低排出目的の技術改良を全面的に実施する。強制的基準に合わない石炭ボイラーの廃棄を急ぐ。天然ガスの供給を増やし、風力・太陽光・バイオマスなどのエネルギー開発支援策を充実させ、クリーンエネルギーの割合を引き上げる。ワラの資源化・総合利用を奨励して野焼きを規制する。自動車用ガソリンの国家第5段階基準を全面的に普及させ、黄標車(排ガス基準をクリアしていないことを示す黄色いラベルが貼られている車)や旧型車を380万台廃棄する。重点地域で大気汚染共同対策を実施する。都市部の汚水処理施設の整備と改良を全面的に推し進め、農業ノンポイント汚染・流域水環境総合対策を強化する。工業汚染源対策にいっそう力を入れ、汚染物質排出企業に対しオンラインモニタリングを全面的に実施する。環境保護関連政策措置の実施状況の監察を強化し、賞罰を明確にする。新たに改正された環境保護法を厳しく執行し、汚染物質を超過排出もしくは不法排出している者を法律に基づいて厳しく取り締まり、こういった違法行為を野放しにしている者についても法律に基づいて責任を厳しく追及しなければならない。
省エネ・環境保護産業を大いに発展させる。グリーン・環境保護基準の適用範囲を広げる。サポート政策を充実させ、省エネ・環境保護の先端技術・設備の普及をサポートし、契約型エネルギー管理(ESCO事業)と環境汚染処理の第三者への委託を押し広め、建築物の省エネ改築にさらに力を入れ、伝統的製造業のグリーン化を加速させる。全国民省エネ・節水キャンペーンを展開し、ゴミの分別処理を推進し、再生資源のリサイクルネットワークを整備し、省エネ・環境保護産業をわが国の発展の支柱産業に育て上げる。
生態系安全保障壁の建設を強化する。生態保護補償の仕組みをより完全なものにする。天然林の商業伐採を停止し、新たな草原生態系保護補助奨励政策を実施する。地下水超過採取地の総合対策の試行作業を推進し、湿地など生態系保護・復元プロジェクトを実施し、砂漠化・石漠化・水土流出対策を引き続き進める。環境保護は国民一人一人の責務である。すべての社会構成員は自ら進んで行動し、「美しい中国」づくりに貢献しなければならない。
(七)民生を確実に保障・改善し、社会建設を強化する。「政を為す道は、民生を以って本とする」。われわれはこれを繰り返し唱えて肝に銘じ、国民の利益を大いにはかり、国民の不安を大いに解消する必要がある。現在、財政収入の伸びは減速しているが、国民のために取り組むべきことは、一つも欠かさずにきちんとやらなければならない。
雇用・起業の拡大に力を入れる。より積極的な雇用政策を実施し、起業による雇用の創出を奨励する。今年度の大学新卒者は765万人にも達する見込みである。就職促進計画と起業誘導計画をしっかりと実施し、就職・起業の道を広げる必要がある。失業保険基金の剰余金を活用し、雇用安定対策資金を増やして、企業の一時帰休者への技能訓練と再就職支援をしっかりと行い、都市部の就職困難者の雇用を下支えする。延べ2100万人以上の農民工に職業技能訓練の機会を提供する。フレキシブル就業、新たな就業形態への支援を強化する。除隊・退役軍人の再配置・再就職・起業をしっかりと支援する。
より公平でより質の高い教育を発展させる。教育には国の未来、人民の期待が託されている。公共予算の教育費を中・西部、辺境地区、貧困地区にさらに傾斜させる必要がある。都市・農村の義務教育経費保障の仕組みを一本化し、設備や環境に不備のある学校と寄宿学校の運営条件を改善する。ユニバーサルサービス型幼稚園の発展をサポートする。特別支援教育にしっかりと取り組む。現代的職業教育体系の十全化を加速し、中等職業教育の学費・雑費免除を類別に基づいて進める。貧困世帯の普通高校在学生徒を手始めに学費・雑費を免除する。農村教師の待遇改善政策を徹底して実施する。遠隔教育の普及を加速させ、良質な教育資源をより広く行き渡らせる。大学の教学レベルと革新能力を向上させ、条件の備わった一般本科大学が応用型大学へと転換するよう促す。重点大学の貧困地区の農村生徒向けの募集枠を引き続き拡大し、農民工随伴子女の滞在先での就学と入試受験を可能にする政策を徹底かつ十全化する。民営教育の発展を支援し規範化する。教育は、児童・生徒・学生の徳育・智育・体育・美育の全面的な発達を促し、資質の高い革新型の各種人材の育成を重視する必要がある。家庭から学校まで、政府から社会までが一丸となって、子供たちの安全と健康、成長と発達に責任を果たし、こうした将来の希望を大切に育て上げなければならない。