『中国の軍事戦略』白書、専門家の解説 (3)

■安全保障上の重大な脅威を注視

　記者：新たな情勢下、海洋、宇宙、サイバー空間、核分野で主要な大国間の競争が激しさを増している。こうした安全保障上の重大な脅威を中国はどのように積極的に注視し、これに効果的に対処しているのか。

　趙徳喜（軍事科学院軍事戦略研究部研究員）：中国は陸海兼備の国であり、海洋は中国の長期的な平和・安定と持続可能な発展に関わる。歴史上、われわれには「海のシルクロード」の輝きもあれば、海防の欠如による教訓もあった。新たな情勢下、陸を重んじ海を軽んじる伝統的思考を突破し、陸海の統合的計画を強化し、海洋経略を強く重視しなければならない。

　宇宙はすでに総合国力の新たな成長源、国際戦略競争の要害の高地、国の安全保障上の脅威の新たな源となっている。宇宙には中国の安全保障上、発展上の重要な利益がかかっている。白書は宇宙情勢を緊密に追跡、把握し、宇宙の安全保障上の脅威と試練に対処し、宇宙資産の安全を守り、国の経済建設と社会発展に貢献し、宇宙の安全を守らなければならないと指摘した。

　現在、サイバー空間では各国の戦略競争が激しさを増しており、サイバー空間の軍事力を大々的に発展させている国も少なくなく、サイバー空間は経済・社会発展の新たな柱、国家安全保障の新たな分野となっている。サイバー攻撃の最大の被害国の1つである中国はサイバーインフラの安全面で厳しい脅威に直面している。白書はサイバー部隊の整備を加速し、国のサイバー・情報分野の安全を保障する必要性を指摘した。

　核戦力は依然として中国の主権と安全を守るうえでの戦略的礎だ。中国は一貫して核兵器の先制不使用政策を遂行し、自衛防御の核戦略を堅持し、いかなる国とも核軍拡競争を行わず、核戦力を国家の安全を守る上で必要な最低水準に維持している。（編集NA）

　「人民網日本語版」2015年5月28日