アジアインフラ投資銀行(AIIB)が「ナマズ効果」(イワシの群れにナマズを入れるとイワシが緊張して鮮度が保たれるという話から、あるグループに異質な要素が加わって活力が高まる現象を指す)をもたらしている。国際経済秩序の今後の変革は「競争によって協力を求める」という原則に従ったものとなるだろう。また多角的な組織同士の競争は大国間の競争を緩和し、地縁政治の競争の色合いを薄めるものともなる。新京報が伝えた。(文・孫興傑・吉林大学公共外交学院博士)
AIIBの規約についての創設メンバー意向国の交渉は予想以上に順調で、年内に運営にこぎつける可能性も出てきた。提唱から実施、運営まで、AIIBは、効率的な多国間金融協力プラットフォームの模範となりつつある。日本の安倍首相はこれに対し、今後5年でアジアのインフラ建設に1100億ドルを投じることを発表した。世界銀行のジム・ヨン・キム総裁も、今後3、4年でインドネシアに110億ドルを融資し、同国の道路や港湾などインフラ建設を支援すると宣言した。
アジアのインフラ建設分野では、AIIBとアジア開発銀行(ADB)、世界銀行が相互競争の状況を呈している。アジアの各国にとっては願ってもない局面とも言える。半年前にはこのような光景は想像もできなかった。AIIBは「ナマズ」のように現れて、世界銀行とADBの「自負と偏見」を取り払い、アジアのインフラ建設と経済発展に新たな活力をもたらしている。
AIIBの呼びかけに応えた国は50カ国を超え、規約の交渉はわずか半年で妥結した。日本と米国は最後まで加入に応じず、AIIBを代表とした変革の動きに距離を取った。AIIBが軌道に乗り始めたことで、慌てた日本と米国がなんとか劣勢を挽回しようとしている。
世界銀行とADBの背後には米国と日本がおり、アジアのインフラ投資の主要な競争主体となっている。世界銀行は全世界向けの融資を行っており、アジア以外にもアフリカやラテンアメリカなどにもインフラ建設に投資している。インドネシアへの気前の良い融資発表はAIIBとの影響力競争の要素が色濃い。