今月16日と17日の両日、主要20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議が米国の首都ワシントンで行われた。非常に興味深いのは、中国が創設を呼びかけたアジアインフラ投資銀行(AIIB)が会議で話題になったことだ。アジア、アフリカ、中南米の新興国はAIIB創設を歓迎し、米国と日本の両国はこの場でもAIIBの融資や組織運営のメカニズムに懸念を表明した。(文:袁征・中国社会科学院米国研究所研究員、同米国外交室長。人民日報海外版掲載)
米日の態度はかねてより予想していたものだ。両国は初めからAIIB創設に対して態度を保留し、反対の立場を示すことさえあったからだ。
米日が再三懸念を表明するのは、AIIBが高い基準で創設されるかということで、これがいろいろな場面であれこれ口を出す理由だ。だが問題は、AIIBは歩き始めたばかりで、まだ何もかも検討中、準備中であることで、米日は参加もせずに外野からあれこれとやかましく言っているに過ぎない。高い基準というが、実際には絶対的な基準があるわけではなく、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)の素晴らしい経験は参考になるが、AIIBは世銀やADBのモデルを100%コピーするわけにはいかない。創設メンバーの57カ国は平等な話し合いと協力・ウィンウィンの原則を踏まえて、共通認識を最大限に追求し、国際的に高い基準を遵守して創設準備を進めていく。現在、G20メンバーのうち14カ国が創設メンバーになっており、この中には英国、フランス、ドイツ、韓国といった米国の同盟国も入っている。米日が外野からあれこれ口出しを続けるのは、もしや創設メンバーの「知能」を疑うからなのだろうか。
米日が懸念するのは中国がAIIBで主導的な地位を占めるのではないかということ、そうしてAIIBが「中国の外交政策のツール」になるのではないかということだ。主観的にいえば、中国は、最大の株主になることは求めない、「拒否権」は求めないとの立場をすでに明らかにしている。客観的にみれば、AIIBの方針決定メカニズムと株式の分配比率はまだ検討中で、創設メンバーにはすべて意見を表明する権利がある。米日が「公正なガバナンス」を声高に論じる様子を見ると、唖然とし失笑を禁じ得ない。方針決定モデルについていえば、世銀も国際通貨基金(IMF)も米国が主導し、米国が最大の株主であり、拒否権ももっている。ADBも米日両国が主導し、1966年の創設以来、歴代の総裁はすべて日本人だ。米国が国際経済機関にたびたび号令を発し、人権問題や環境問題などを利用して他国に圧力をかけるという状況は日常茶飯事になっている。米日は自分たちのしてきたことを検討することも振り返ることもせず、「色眼鏡」でAIIBのガバナンスに疑いを差し挟んだり、自分たちの困った状況を覆い隠そうとしたりしている。