中国の経常収支と資本収支はこれまでずっとダブル黒字を維持してきたが、2014年は資本収支が960億ドル(1ドルは約117.3円)の赤字となった。これは5千億~6千億元(1元は約18.8円)に相当する金額で、金融システムの流動性に影響を与えるとみられる。このほど行われた預金準備率の引き下げは、当面の状況に対する前倒しの調整、微調整だといえる。人民日報が伝えた。
中国工業製品出荷価格指数(PPI)は34カ月連続でマイナス成長が続いており、実体経済にかかる圧力は大きく、特に小規模・零細規模のメーカーの経営にかかる圧力は大きく、主業務の収入が不足している。準備率引き下げの狙いは、金融資源を動員して実体経済の中に投じることであり、特に小規模・零細企業や「三農」(農民、農村、農業)といった経済の弱い部分に投入することにある。このたびの調整は強い喚起策や流動性の全面的な開放ではなく、先倒し調整であり、微調整であり、ターゲットを絞った調整だ。
▽準備率引き下げに3つの基本的な政策的意図 引き下げルートはまだ開通していない
中国人民銀行(中央銀行)は4日、2012年5月18日以来の預金準備率の全面的な引き下げを行うことを明らかにした。これまで市場には引き下げの予測はあまり出ていなかった。人民銀の政策の意図はどこにあるのだろうか。
人民銀研究局の陸磊局長の指摘によると、今回の準備率引き下げには3つの基本的な政策的意図があるという。
第一に、準備率引き下げはマネタリーベース拡大の構造的変化に対する適切な対応だ。これまで中国は経常収支と資本収支がダブル黒字を維持してきたが、14年は資本収支が960億ドルのマイナスとなり、これは5千億~6千億元に相当し、金融システムの流動性にマイナスを与えるとみられる。今回の引き下げは市場への流動性の供給を増やすことにほかならず、当面の状況に対する前倒しの調整であり、微調整だ。