実験室で検査を実施する研究者
唐木氏はさらにデータを引用して、「2012年度の輸入検査結果によると、中国食品の違反率(筆者注:食品衛生法に違反した割合)は0.22%で、米国の0.81%、タイの0.71%、韓国の0.45%と比べて、決して高くはない。輸入、国産を問わず、違反の内容は、大腸菌やカビの付着、指定外あるいは基準値を超える添加物や農薬の残留などだが、違反の程度は軽微で、健康に影響がある重大な違反はなかった。これらの事実は、国産食品と輸入食品の安全性が同等であることを示す」と説明している。
さらに唐木氏は、「毒餃子」問題も冷静に捉えるべきだと指摘している。原料に違反があれば、1ロットの製品全部に影響が出るので、抜き取り検査で検出できる。(しかし、少数の最終製品に農薬を意図的に注入した場合、検査で見抜けないこともある)。これは、日本で昨年起こったアクリフーズ(現・マルハニチロ)群馬工場製造の冷凍食品に農薬のマラチオンが混入された事件と同じで、ごく特殊な例から、危険だとの論理は導けない。
「科学的事実を無視して中国産輸入食品を『悪』と決めつけ、根拠のない不安をあおることが食料の多くを輸入に頼る日本にとってどのような利益があるのか、それが価格の高騰や食料の不足を招かないのか、冷静に判断すべきだと考えている」。
専業主婦の鈴木さん(62)は、この文章を読み終わった後、毎日新聞に投書した。毒餃子事件以降、一部の日本のメディアの過剰な報道によって、中国輸入食品への深い不信感を抱き始めたという鈴木さんの投書には、「マッシュルームが好きだが、スーパーで国産マッシュルームと中国産マッシュルームが並んで置かれていて、中国産の価格が国産の半分だったとしても、以前ならそれでも国産を購入していた。でも、この報道を読み終えた後、新たな認識が生まれ、今後は冷静に判断して、自分が好きなマッシュルームや夫が好きなウナギも中国産のものを買おうと思った」と綴(つづ)られていた。
「人民網日本語版」2015年2月3日