日本のトヨタ自動車はこのほど、同社が保有する燃料電池車関連の特許約5680件(出願中のものを含む)を無償で公開することを明らかにした。この「自ら秘密を明らかにする」という類をみない行動の狙いは、より多くの同道者を集めて協力を進め、燃料電池車の普及を加速させることにあるという。人民日報が伝えた。
燃料電池車は「究極のエコカー」などと呼ばれ、世界の自動車産業の研究開発における主戦場の一つだ。そのメカニズムは酸素と水素の化学反応によって電気を起こし、モーターを動かすというもの。自然界にある無尽蔵の酸素と水素を燃料にしており、少量の水を排出するだけで、「汚染ゼロ」を実現する車だ。
2014年12月、トヨタは世界初の一般消費者を対象にした量産型燃料電池車(FCV)「ミライ」を発売した。3分間の水素充填で650キロメートルの走行が可能で、航続距離はこれまでの主力電気自動車の日産「リーフ」の2.8倍に達する。
燃料電池車は日本の「水素社会戦略」における先駆者だ。日本の独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が昨年7月に発表した「水素エネルギー白書」によると、水素社会を建設するとともに、水素エネルギーを日本のエネルギーの3本目の柱にするために努力することが必要だという。日本の水素エネルギー市場全体の規模は2030年に1兆円に、50年はさらに増大して8兆円に達することが予想される。燃料電池車の登場を目印として、15年は「水素社会元年」とされる。
トヨタの豊田章男社長は、「水素社会の実現は長いプロセスであり、自動車メーカー1社で達成できるものではない」と話す。今回の特許公開では、ボルタの電堆、燃料タンク、システム制御などの技術に関する特許5610件を公開し、20年まで特許使用料を免除する。水素スタンドに関する特許約70件は、公共性が高いため、無期限で無償公開するという。