風の谷のナウシカ(1984)
あらすじ:巨大産業文明を崩壊させた「火の七日間」と呼ばれる最終戦争から千年。世界は猛毒の瘴気(しょうき)を放つ「腐海(ふかい)」と呼ばれる菌類の森に覆われ、生き残った人類は、森の毒とそこに住む巨大な虫たちに脅かされていた。辺境の峡谷にある小国「風の谷」は「酸の海」から吹く風により瘴気から守られ、穏やかな農耕生活を送っていた。族長ジルの娘ナウシカは剣術や飛行術を修めた勇者であり、人々が恐れる腐海の虫たちと心を通わせる少女でもあった……。
◎宮崎駿が海外版に激怒
アメリカでは『Warriors of the Wind(風の戦士たち)』という英題を付けられ劇場公開された。これはロジャー・コーマンが創立したニューワールド・ピクチャーズ社の配給であり、腐海の浄化作用などの設定やナウシカの過去に関する描写は省かれ、日本で116分だった上映時間は95分に短縮されている。またナウシカが「ザンドラ姫」となっているなど、登場人物の名前も多くが改変されている。このバージョンを知らなかった宮崎は、朝日新聞1985年9月17日夕刊「いまアニメの時代」の連載3回目を読んで初めて知り、無断で改変されたことに激怒した。