習近平国家主席はこのほど訪問先のオーストラリアで、同国のアボット首相と共に、中国・オーストラリアの自由貿易協定(FTA)交渉が実質的に妥結したことを発表した。中韓両国もこのほどFTA交渉の実質的妥結を宣言したばかりだ。これで中国は短期間内に、アジア太平洋地域の2つの重要なエコノミーとのFTA交渉をほぼ終えたことになる。中国のFTA構築は今、大きな進展を迎えつつある。中国 (省)の王受文部長補佐は17日に記者会見を開き、国内外のメディアに対してFTAの関連状況を説明した。人民日報海外版が伝えた。
▽中豪FTA:消費者に大きな利益
王部長補佐は、「中豪FTAは、中国が大型先進国と締結した初のFTAとなった。中豪双方の産業には、相互補完が可能な部分が多い。FTA締結は、両国の経済貿易関係の深化にとって非常に重要な意義を持つ」とした。
中豪FTAは来年発効の予定で、発効から5年以内に、オーストラリアは中国からの輸入品への関税を100%撤廃する。双方は投資分野でも互いに最恵国待遇を与える。オーストラリアで600億ドルの投資を行っている中国にとって、FTAが発効すれば、オーストラリアの中国企業への審査も緩和されることになり、双方の投資便利化がより一層進むこととなる。
中国の一般消費者にとっても、人気のオーストラリア乳製品、牛肉、魚介類、ウールといった商品がFTA効果で値下げされることとなる。食品を例にとると、オーストラリアの乳製品の関税が9年間をかけて徐々に撤廃され、乳幼児用粉ミルクの関税(15%)は4年以内に撤廃される。羊肉の関税(23%)、牛肉の関税(12-25%)も9年以内に撤廃される。また、オーストラリアから中国に輸出される石炭、銅、ニッケルといった鉱物資源の関税も削減・撤廃される。
一方で、中国からオーストラリアに輸出される電子機器製品、工業製品も今後数年以内にゼロ関税時代を迎えることになり、中国の輸出を後押しする。
また、中国人民銀行(中央銀行)とオーストラリア準備銀行(中央銀行)は、オーストラリアでの人民元の公式決済銀行の認可に関する協力覚書を締結し、人民元適格海外機関投資家(QFII)の試行地域をオーストラリアに拡大することで合意した。初期の投資枠は500億元(1元は約19円)に達するという。