日本円の対米ドルレートが急速に低下していることが、各界で熱い議論を引き起こしている。14日の東京外国為替市場では、1ドル116.31円で引け、7年ぶりの最安値となった。この2カ月間に、円の対ドルレートは10%近く値下がりし、2012年9月の高値と比べると、値下がり幅は50%を超えた。「新華網」が伝えた。
▽円が値下がり続けるのはなぜ?
市場アナリストの見方はこうだ。最近の持続的な円安にはさまざまな原因がある。日本銀行(中央銀行)が追加金融緩和を実施したこと、米国が量的緩和政策を終了し金利を引き上げる可能性があること、日本経済の見通しが暗く投資家の円に対する信頼感が低下していることなどがあるという。
まず、このたびの日銀の追加金融緩和政策が円安の最も大きな原因だ。金融緩和政策は安倍政権が発足後にうち出した経済政策「アベノミクス」の第1の矢だ。日銀はインフレ率を引き上げるため、国債などの有価証券を大量に購入して市場に大量の資金を投入した。こうして通貨供給量が大幅な増加して円安が進行した。
日本では今年4月、消費税率が5%から8%に引き上げられた。すると一度は好転した経済情勢が悪化し、第2四半期(4-6月)の国内総生産は前期比7.1%低下した。日銀は10月31日に追加金融緩和を決定し、これにより円安が持続することになった。
次に、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和政策の終了を宣言したことで米ドルが値上がりしたことも、円安の重要な原因だ。市場アナリストの予測では、米国は来年春に金利を引き上げ、円・ドルの金利差が拡大して円が投げ売りされ、ドルが買い増しされ、円安の加速が予想されるという。
さらに、日本の経済情勢が楽観を許さないことも円安を後押ししている。最近発表された各種データから、日本経済が足踏み状態に陥る可能性のあることが示唆され、投資家は円の見通しに信頼感をもてずにいる。
▽円安で悲喜こもごも
大幅な円安は自動車メーカー、電子機械産業、観光産業などにとっては非常に大きな好材料だ。自動車産業では、円が1円安くなると、トヨタは400億円の利益になり、ホンダは120億円の利益になり、5大メーカー合わせて800億円の利益になるという。1ドル115円の水準が続けば、5大メーカーには今年、8000億円の予定外の利益が転がり込むという。