日立製作所、三菱電機、キャノン、小松製作所、川崎重工などの電子産業や機械産業も円安の受益者だ。大和証券がまとめた調査研究の結果によると、円相場が1円値下がりするごとに、各社の利益は0.5ポイント増加するという。
観光産業やホテル産業も円安で多大な利益を得る。円安で海外から日本を旅行する場合の費用が大幅に値下がりし、観光客が急増した。今年1~9月の訪日観光客はのべ1千万人を突破して、前年同期比30%以上増加した。
だが円安はエネルギーや資源の輸入産業を苦境に陥れもする。電力産業にもさらなるダメージになる。日本は石油、天然ガス、石炭などのエネルギーを基本的にすべて輸入に頼っており、円安はコストの急上昇をもたらす。試算によると、円相場が1円値下がりするごとに、東京電力の燃料コストは330億円増加するという。目下、8大電力企業のうち6社が損失を出している。
輸送産業、製紙業、食品産業にも被害が出ている。円相場が1円値下がりすると、日本製紙グループの利益は8億円減少する。日本はコメ以外の多くの食品を輸入しており、円安は食品の輸入価格を間違いなく上昇させる。日本では最近、野菜の価格がめずらしく速いペースで上昇している。
▽円安は輸入振興につながっていない
理論的には、円安は日本製品の輸出に有利であるはずだが、日本の経済構造の変化を受けて、今回の円安は必ずしも輸出振興につながっていない。
日本の製造業企業は円安リスクを回避し、貿易摩擦を減少させるため、相次いで海外での投資や工場建設を進めており、このことが国内の製造業を萎縮させ、商品の輸出の勢いを失わせている。こうして大幅な円安となっても、日本の輸出に対する振興効果はそれほど明瞭ではない。またエネルギーの輸入が大幅増加したことから、日本の貿易赤字が記録を更新した。日本の財務省がまとめた統計によれば、今年4~9月の輸出額の前年同期比増加幅は1.7%にとどまった一方、輸入の同増加幅は2.5%に達した。
だが日本の海外投資は増加を続けており、投資収益は年々増加している。同省の統計をみると、今年4~9月の対外投資による利益は同1.4%増加して9兆1487億円となり、同期の過去最高を更新した。
日本の研究者は、日本の対外経済活動は商品の輸出が主導するモデルから資本の輸出が主導するモデルへと移行し、為替の変動が輸出貿易に与える影響が徐々に弱まっているとの見方を示している。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年11月18日