7月12日午後、日本の民衆百人余りが大型台風通過後の猛暑も顧みず、三重県津市の三重県総合文化センターに集まり、特別な催しに参加した。「銘心会」会長の松岡環氏が撮影したドキュメンタリー『南京の松村伍長』の上映会だ。
この30分間のドキュメンタリーは1937年8月に日本陸軍第16師団第33連隊の兵士、松村芳治氏(三重県出身)が中国へ渡り、河北省で女性や子どもを含む中国の普通の民衆を惨殺した後、南京大虐殺に加わって寸鉄帯びぬ中国民衆を機銃掃射した侵略の歴史について語っている。
大阪在住の松岡氏は日本が中国を侵略した歴史についてさらに多くを知るため、三重県の松村氏の自宅を8年間に20回以上訪れて聞き取り調査をした。松岡氏にとって忘れがたいのは、人を殺した罪はずっと認めてきた松村氏が、死が近づいて初めて、松岡氏の質問に、中国で女性を強姦したこともあることを吐露したことだ。ドキュメンタリー中の松村氏の表情と言葉からは、過去に犯した悪事への深い後悔が見てとれた。
上映会開始前に人民日報記者が会場を訪れると、すでに続々と観衆が集まっており、中には酸素ボンベを使用しているお年寄りもいた。入り口には長蛇の列ができ、南京大虐殺についてもっと知るため、元日本兵250人と生存者300人に取材した松岡氏の著書『南京戦・切り裂かれた受難者の魂』『南京戦・閉ざされた記憶を尋ねて』を買い求める人も多くいた。
上映会は午後2時に正式に開始。主催者の1人、出口洋介氏は「安倍政権は集団的自衛権の行使を容認し、戦争を発動できる国へと一歩一歩邁進している。第2次大戦前の日本にまた戻ったかのようで、私たちは深く憂慮している。安倍首相の任命した閣僚は南京大虐殺と慰安婦問題も否認している。こうした中、本日の催しがみなさんにとって歴史を正しく認識する機会となることを期待する」と語った。
上映中を通して会場全体の雰囲気は非常に重く、目をそむけたくなるようなシーンの1つ1つが、当時日本が中国を侵略し、中国の民衆を惨殺した現場へと観衆を連れて行くかのようだった。映像を見ながらメモを取っている人も少なくなかった。上映終了後、松岡氏は中国侵略日本軍による南京大虐殺についての調査研究に携わった経緯と結果を説明し、日本による侵略の歴史を反省するようみなに求めた。