中国人民銀行は18日、中国建設銀行(ロンドン)有限公司を、ロンドンの人民元決済行に指定することを発表した。建設銀行は19日に、英国側と正式に関連協定に調印する見通しだ。これにより、世界人民元決済事業の競争に、新しい都市が加わることになる。香港、シンガポール、ロンドン、パリ、フランクフルト、ルクセンブルクは、一定の実力を持つオフショア人民元センターになろうとしている。環球時報が伝えた。
建設銀行は、中央銀行によって初めてアジア以外の国・地域の人民元決済行に指定された銀行になった。また、建設銀行が海外人民元決済行に指定されるのはこれが初めてだ。シティ・オブ・ロンドンは環球時報に寄せたEメールで、「これは中英双方にとっての朗報だ」とコメントした。中国建設銀行(ロンドン)有限公司は、建設銀行がロンドンで設立した全額出資の子会社で、「シティ・オブ・ロンドン人民元計画」の重要なメンバーでもある。中国駐英大使館経済商務部の周小明公使参事官は、「ロンドンは人民元オフショアセンターとしての初歩的な規模を形成した」と述べた。
仏レゼコー紙は、「ロンドンは香港と競争し、人民元オフショアセンターを建設しようとしてきた。パリ、フランクフルト、ルクセンブルクも、同センターを建設するため中国と交渉している」と伝えた。仏テレビ局「France 24」は18日、「人民元の英国拠点の設立は、フランスの銀行業を刺激する」と報じた。仏フィガロ紙は、「本件とウクライナ危機は、人民元の地位を高めた」と指摘した。同紙の「ロンドン、フランクフルト、パリによる人民元をめぐる戦い」と題する記事は、「人民元はすでにユーロに代わり、世界で2番目に重要な通貨になっている。パリは中国の株式市場への投資許可を得ている。フランスとアフリカ諸国の緊密な金融関係により、中国の銀行業はパリに人民元決済センターを建設する興味を示している」と分析した。
中独は3月に、フランクフルトに人民元決済メカニズムを構築するための覚書に調印した。ドイツは人民元決済センターの設立を重視しており、これを中国の発展の勢いを借りる重要なチャンスと判断している。メルケル首相は中国の指導者と会談した際に、ドイツ側の希望を伝えた。フランクフルトは後発者でありながら、ユーロ圏内で初の人民元決済センターになった。中国銀行は今年5月、ユーロ圏内で初の人民元決済事業を行える銀行を目標に、フランクフルト支店への10億元(約164億円)の出資を決定した。中国銀行フランクフルト支店長は、「中国の銀行にとって、人民元のグローバル化は巨大なチャンスだ。米国金融業の成功は、米ドルの世界における支配的な地位に負うところがある」と指摘した。