頭痛、歯痛、腰痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛――。人々を苦しめる慢性の痛みは様々だが、鎮痛手段はそれほど多くない。上海交通大学の研究チームはこのほど、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体に高い鎮痛作用があることを突き止め、慢性疼痛治療の新たなターゲットを発見した。同研究結果は、最新号の「神経科学ジャーナル」に掲載された。人民日報が伝えた。
上海交通大学薬学院の王永祥教授は先月末に鄭州で行われた全国麻酔薬理学術会議において、同研究成果を初めて発表した。同成果は偶然の発見だったという。糖尿病の治療研究を行っていた研究チームが、ラットの脊髄にGLP-1受容体アゴニストを注射したところ、ホルマリン投与によって誘発された持続痛が効果的に抑制され、80%に達した。この驚くべき効果は、その後に行われた骨癌、神経因性疼痛モデルの実験でも検証が得られ、骨癌によって引き起こされた機械的疼痛の抑制率は60%、糖尿病性神経障害に伴う疼痛の抑制率は最大で90%に達した。一方、急性疼痛に対しては大きな効果はなかった。
臨床の場で現在最も良く利用されている慢性疼痛の鎮痛剤はモルヒネだが、持続投与すると副作用がある上に、薬剤耐性が誘発されやすく、長期的な使用ができない。同研究チームが発見した新たなターゲットは、薬剤の量・使用日数が増加しても耐性が発生せず、モルヒネと交差耐性を持たないため、長期的に使用できる。このことは、新たな鎮痛薬の研究開発にとって大きな実用的価値を持つ。(編集SN)
「人民網日本語版」2014年5月8日