神経変性疾患は大脳と脊髄の細胞群が死ぬことによって生じる疾患で、パーキンソン病やハンティントン舞踏病などがこれに属する。現在使用可能な薬は非常に少なく、それほど大きな効果を得られない。科学者はそこで、別の手段を検討した。細胞群が死ぬことで起きる疾患ならば、これを補充すれば治療できるのではないか?光明日報が伝えた。
それではいかに細胞群を得れば良いのだろうか?中国人科学者が率いる研究チームは画期的な進展を実現し、ヒトの線維芽細胞を神経群制御性前駆細胞に直接転化させた。この細胞は体外の培養により大量に増殖でき、かつ特異的分化により神経群になるだけで、神経膠細胞を生むことはない。この技術は細胞交換療法により、ヒトの神経変性疾患を治療するための細胞を提供する可能性が出てきた。
これまでの細胞交換療法の研究で、科学者は線維芽細胞を末端神経に直接変化させようとしていた。しかし神経群の体内での増殖能力には限りがあり、生き残り機能を発揮したのは少数の細胞だけだったため、移植治療の効果は理想的でなかった。そこで科学者らは線維芽細胞により神経幹細胞を生成し、これをそのまま患者の体内に植え込んだ。この細胞は、神経群と神経膠細胞に分化する。しかし結果的に、この細胞は神経群ではなく神経膠細胞を多く分化することが分かった。
最近の研究によると、神経が生成される過程において、ある細胞は増殖と移転の能力を持ち、かつ特異的分化により神経群を形成することが明らかになった。この細胞は、「神経群制御性前駆細胞」と呼ばれる。この細胞は移植後、脳の異なる区域に移転・統合され、さまざまな神経群を形成し、非常に高い神経修復能力を持つ。しかし正常な神経組織から、純度の高い良好な細胞を得るのは、難しく手間のかかることである。
中国科学院広州生物医薬・健康研究院の頼良学氏率いる研究チームは、3種のファクター「Sox2」、「c-Myc」、「Brn2(もしくはBrn4)」を利用し、ヒトの胚の線維芽細胞の転化により神経群制御性前駆細胞を直接形成した。この過程はわずか11日で終了する。体外実験において、これらの細胞は独特な神経群の特徴を示し、かつさまざまな末端神経に効果的に分化した(神経膠細胞ではなく)。
頼氏は、「臨床試験はまだ先だが、この発見はヒトの神経変性疾患の治療により信頼できる効果的な細胞を提供するだろう」と語った。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年2月28日